劇場公開日 2010年12月4日

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「淡々としてる。けどリアル。」酔いがさめたら、うちに帰ろう。 77さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0淡々としてる。けどリアル。

2011年12月19日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

怖い

幸せ

『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』
元々なんだか気になるタイトルだったんですが、アルコール依存症がテーマだと知り、その病状と裏腹なすごく温かい言葉選びに余計にそそられました。

実話だということでどんな方、またどんな“うち”の方がこんな素敵なタイトルにたどり着いたんだろうと思い観てみたら、、納得です(浅野さん永作さん凄い!)。 是非亡くなられたご本人にも観て頂きたかった。

アルコール依存症。てか●麻とかはNGでタバコやお酒は堂々とOKな境目ってなんなんでしょうね、法? 快楽と危険という点では依存する前からどれも“良し”ではない気がするんだけどお酒だけはとりあえずの未成年法と近頃厳しくなった飲酒運転くらいしか取り沙汰されてない。
もちろん息抜きやご褒美は必要だし今更規制したって健康どうこうじゃなく娯楽として味をしめた人には必要不可欠だし楽しくたしなめればいいんだけど、ネジが緩んだ状態で【過】のラインを超えてしまう可能性はすごく身近にあります。

でもアルコール依存症(だけじゃなく依存症とつくものや精神的なものも)は作中でも言っていましたが周囲から理解され難い。
そりゃ目に見えない人の心なんてお医者さんにだってわからないんだからしょうがないことのような気もします。
お酒は飲まなくても平気なタチなので私も主人公の気持ちはわからない。けどきっと甘えだとか自業自得だとか言える人はストレスとの付き合い方が上手(一晩寝ればOKだったり、人やスポーツや趣味で満たされたり)なとってもラッキーな選ばれし人。
甘え下手で自分の中だけでなんとかしようとしてしまった結果(皮肉なことに結局人に迷惑かけて心配させて傷つけさせてしまうから余計わかってもらいにくいものなのかな)だと思うので誰にでもなりうるもの…という考えなのでなかなか考えさせられるお話でした。

しかし映画としては地味。小説(本作は未読ですが)を所々つまみ食いしてそのまま映像にしたような印象。…ですがリアル。だから淡々として感じるのかもしれません。
何がリアルってその空気感。病棟も実際に目にする機会があったのですが本当にあのままって感じがしました。“健康”な人とはなにかが違うオーラというのかな、役者さん全員見事としか言いようがないです。
浅野さんの“発表”はご本人が憑依したかのようで演技ということを忘れそうになるくらいでした。
家族も悲劇のヒロインじゃなくお医者さんもお涙頂戴要員じゃなく、綺麗事がないのです。
その英断は素晴らしいですがその“地味さ”を演出と脚本で“静かな味わい”に化けさせて欲しかったな〜。惜しい。

好きな演出もあるんですけどね。
過剰な音楽がなければもっと良かったけどw、カレーが出た時はこっちまでやったー!ってなったし(でもカレーが食べたいという欲求はわかるけど他の食事に対してはそんなに運動できない環境で三食きっちり食べれるほどお腹が空くもんなのか?w)、
(元)妻が料理しながらだんだん泣く様子にはもらい泣き。あのボリュームの変化がすごくリアルで。
さすが永作さん。ていうかおでこオープンのおだんごがあんなに似合う40歳はいないw

とにかくうちに帰れて良かった。
地獄をたくさんみただろうけど居場所があるというのはそれだけで素晴らしい最期であり人生だったことと思います。ご冥福をお祈りします。

77