「雑多な味わい。」ソウル・キッチン ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
雑多な味わい。
名画座にて。
期待や想像をまるごとひっくり返してくれた怪作^^;
ソウル…?でも韓国映画じゃないんだよね、あ、ドイツなのか。
じゃあマーサの~レシピ♪みたいなお料理づくしが味わえる?
いやいや、ぜんぜん違いました^^;
確かにハンブルクの倉庫街にあるレストランが舞台なんだけど、
そこのオーナーでギリシャ系ドイツ人のジノスとその兄、凶暴な
シェフ、その他もろもろが入り乱れる群像劇という方が合う感じ。
しかもかなり雑多ときている^^;話のテンポはいいが、どんどん
難題が降りかかり、観ているこちらも何が何だか分からなくなる。。
いや~何ともいえない、変わった作品。
しかしつまらなくはないのだ。何だよ、料理のシーンってこれだけ?
なんて思いながらも、次から次へとジノスに襲いかかる難題に対し、
常に前向きなところが笑わせてくれる。この熊みたいな体型の男は
上海に仕事で旅立ってしまった恋人のことで悶々としながら、自営の
レストランのことで頭を抱えている。仮出所中の兄からは仕事と金を
無心され、税務署からは滞納分の督促、おまけに衛生局からも目を
つけられて冷蔵庫を動かしたらぎっくり腰になるわで散々な目に…^^;
それでもレストランを諦めない彼は、たまたま兄が盗んできた(オイ!)
オーディオセットで店が大繁盛してしまったのを機に、次々と新しい
趣向を凝らすことに成功、店は安泰、彼女の元へ行こうと決心するが…
ま~ホントにあれやこれやで^^;ある意味これもテンコ盛りな作品。
しかも美味しそうな料理がテンコ盛りならまだしも、エェ?的なもの
しかお目にかかれない…ものの、粗野で凶暴なシェフが来てからは
かなり料理も進歩する。しかし元々がこの倉庫は、味にこだわらない
庶民が気軽に立ち寄るレストランのため、やはりディスコ風になった
方が繁盛する、というのは目に見えていて、あとはもうすったもんだの
繰り返し~後半なんか、どうしますコレ?なエロい描写まで全開に^^;
…いったい何を描きたかったのかと後で考えてみると、
人生山あり谷ありでも、諦めないものに未来は訪れる!みたいな感じ?
あれほどヘルニアで苦しんだジノスが軽快に歩く後半、彼女の家を訪ね、
お願いをする場面。アレ?復活したの?と思わせて、ラストは…♪
脚本も担当したという主演のA・ボウスドウコスは実際にハンブルクで
ギリシャ料理店を経営していたことがあり(実は監督も通っていたそうで)
それが本作のアイデアに繋がったらしい。つまりこの悲喜こもごもは、
ひょっとしたらご本人の体験談かもしれないのね^^;どうもお疲れさま~
(しかしシェフの行方が気になるわねぇ。どこいっちゃったのかしら^^;)