劇場公開日 2013年8月23日

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スター・トレック イントゥ・ダークネス : インタビュー

2013年8月21日更新
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「こだわったのはストーリーとキャラクター」
J・J・エイブラムス監督が明かす、観客の心を揺さぶる“源”

「スター・ウォーズ」新エピソードの監督、「ミッション:インポッシブル」第5弾のプロデュースも控え、いまハリウッドで最も多忙なヒットメーカーと呼んでも過言ではないJ・J・エイブラムスの最新作、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」が8月23日ついに日本公開。先ごろプロモーションで来日したエイブラムスに、同作のこだわりを聞いた。(取材・文・写真/編集部)

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1960年代の伝説的テレビシリーズに端を発する人気SFシリーズを、新たな解釈と最新VFXでよみがえらせた劇場版「スター・トレック」が4年ぶりに帰ってきた。シリーズ第2弾「スター・トレック イントゥ・ダークネス」のメガホンをとったのも、もちろん前作と同じJ・J・エイブラムス。キャリア初となる“3D”作品での登場だ。

「当初は、3Dで撮ろうとは考えてなかったんだ。3D作品にすることはスタジオからの要請だよ」と、エイブラムスは同作の3D化の経緯を明かす。アナモフィック・レンズで撮影したシネスコ映像独特の風合いを愛し、3D映画には懐疑的だったと伝えられる彼が、どうしてすんなりと3D化に踏み切ったのか。

「テストのために、前作のいくつかのシーンを3Dにコンバートしたんだよ。その映像がすごくてね、『これならイケる!』と思った。アナモフィック・レンズでの(フィルム)撮影にはこだわっていたから、本作は(撮影時から3Dではなく)2Dからコンバートすることにした。もちろん、すべての映画を3Dにする必要はないと今でも思っているけど、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』は3D化にとても向いていたと思うよ」

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確かに、惑星規模の危機的災害が描かれるオープニングから、謎のテロリスト、ジョン・ハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)とカーク(クリス・パイン)らの死闘、宇宙船同士の砲撃戦、そしてエンタープライズ号に訪れる絶体絶命の危機と、前作以上のスペクタクル・シーンが、文字通り、見る者を圧倒する。だが、脚本家として評価を高めてきた希代のストーリー・テラーは、「こだわったのはストーリー」だと言い切る。

「大作映画が続いていて、(その中で)色んなものがバンバン壊れちゃって、みんな疲れていると思うんだ(笑)。とにかく大作だろうがなんだろうが、僕が一番大事にしているのはキャラクターに思い入れができること。感情移入できるかどうかなんだ。まったく新しいストーリーを作るのは難しいけれど、同じストーリーでも別のアプローチで語ることはできると思うし、キャラクターの心情にフォーカスしてニュアンスを変えて伝えることはできる。(今作で言うなら)悪に立ち向かう忠誠心や自己犠牲の心、正義感といったようなみんな知っていることが、とても新鮮に見えるはずだ」

さて、エイブラムスといえば、「エイリアス」「LOST」「FRINGE フリンジ」のテーマ曲の作曲など、音楽との関わりが深いことでも知られている。本作でも、2259年のクラブのシーンで自身の楽曲「Into Darkness」が登場している。

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「(映画音楽家の)マイケル・ジアッキノの前じゃとても音楽家だなんて名乗れないけれど、とにかく子どもの頃から映画のサントラが大好きで、アナログレコードは山のようになっていたよ。見たことのない作品でも、音楽から色々なシーンを想像しながら聞いていたね。僕は、映画の成功の51%くらいは音楽のおかげだと思っている。『キャスティングだろ?』『脚本じゃないのか?』ってみんなは言うと思うけれど、それくらい重要な要素だ」

そして、「作曲が大好き」というエイブラムスの話は、次の監督作として取りかかっている「スター・ウォーズ エピソード7(原題)」におよぶ。

「『スター・ウォーズ』では、あのジョン・ウィリアムズと仕事をしているんだけど、彼はまさに伝説的な人物。『スター・ウォーズ』や『ジョーズ』のサントラはもちろんだけど、ブライアン・デ・パルマ監督の『フューリー』などそれほど有名じゃない作品のも熱心に聞いていたからね。ものすごく刺激的だよ!」

8ミリカメラで映画を撮っていた少年時代と変わらない映画へのアプローチと、映画音楽への憧憬。テクノロジーが進化して映画の規模が大きくなろうとも、エイブラムス作品が見る者の心に動かすのは、作品を作る彼自身が映画の大ファンであるからに違いない。

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