「誰しもが心の中に抱えるリアル」渋谷 シュナイダーさんの映画レビュー(感想・評価)
誰しもが心の中に抱えるリアル
自分を演じてしまう自分。
これは多かれ少なかれ、誰もが経験していることかもしれませんね。
まあこの映画自体はドキュメントに近い作風で渋谷のリアルを描いた作品でしたが、これは渋谷に限らずどこにでもある物語だったと言えましょう。
だからこそ、思いっきり感情移入させられてしまいました!
親の喜ぶ顔が見たい、親に褒められたい、親をがっかりさせたくない、親に嫌われたくない。
だから良い子でいようとしてしまう。
これは子供目線だけでなく、親目線で考えてもそう、職場や友人関係に置き換えてもそうなんですよね。
でも、本当の自分は・・・一体どこに・・・。
それにしても、自分を演じ過ぎて壊れてしまった少女と、その自分を探してあげたカメラマンの交流は、本当に見応えたっぷりでした。
特に長回しのシーンは圧巻の演技!
もしテーマに共感できなかったとしても、綾野剛と佐津川愛美の演技を見るだけでも十分価値のある映画だったと思いましたよ。
綾野剛(水澤)・・・優しさ、悲しみ、様々な感情を内に秘めた役どころを見事に演じきっていましたね。
きっと水澤はいいカメラマンになるんだろうな・・・。
個人的には、卵かけご飯を食べるシーンが妙にツボでした。
佐津川愛美(ユリカ)・・・モデル体型じゃないからこそ、妙にリアルに感じれる役どころでしたね。
そして表情の変化や感情を爆発させた演技は、まさにお見事の一言でした!
彼女の出演作の中でも確実にベスト3に入る演技だったと思いましたよ。
松田美由紀(ユリカの母)・・・存在感がもう全てを物語っていました!さすがです。
ユリカとはその後どうなったのでしょうか・・・気になる。
石田えり(編集長)・・・ちょっと厳し目の編集長でしたが、まあこれも愛のある指導だったのかなと思える雰囲気は十分滲み出ていましたね。
井浦新(風俗店の受付係)・・・最初誰なのか分かりませんでしたが、まさか井浦新だったとは。
感情のない同じ台詞を繰り返す様子が、何故か妙にツボでした。
大島優子(田舎から出てきた渋谷の少女)・・・これも渋谷のリアルなのかな・・・。
少ない時間の出演でしたが、やはりAKBの中では一枚上の演技力を持っていますね。
この映画を見たことによって、街中で騒ぐ荒れた若者を見る目線もちょっと変わってきそうな雰囲気です。
何とも不思議な味わいを感じれる映画でした。