「外道、嬉々として共食いする。」アウトレイジ 小太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
外道、嬉々として共食いする。
正論を背に気取ったフランス人記者の質問を打ち負かした北野武監督、渾身のバイオレンス作。北野監督がただの暴力信奉者ではないのは、これまでの作品群を見れば分かる通りながら、やはり、得意分野であることは隠しようのない事実。今回、凄みを見せつけた。
無法者でありながら、やくざ世界のしがらみにがんじからめになってしまう、凶悪な登場人物たち。誰にも自分を投影できないながら、あまりに現実的なストーリー展開に引き込まれてしまった。
自分の生活とは別次元の宇宙の話ではあるが、頽廃した社会の一面として繰り広げられていてもおかしくない話。
出演者も世界レベルで戦える、野球WBC日本代表のような豪華な顔ぶれ。ジャンルとして好みはあると思うが、北野監督作品の中でも最上位と言ってもいい完成度。内容を考慮して最高スコアは自粛した。
コメントする