「原作のイメージ通りの完成度!」必死剣鳥刺し BLAZEさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のイメージ通りの完成度!
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何年経っても色褪せない映画というものがあるが、この映画はおそらく、少なくとも自分にとってそういう映画になった。
観る前は、豊川さんが兼見を演じると知り”ええ~?あの左膳をやった豊悦さんに出来るの?””また格好つけてるんじゃないの?”などと思っていたが、なんのなんの、はじまるとそんな印象は一気に吹っ飛んだ。薄汚い髭や浮腫んだ顔、少したるんだ身体などは逆に負の凄みと色気すらを感じさせる。
前半、殺陣や動きのあるシーンは少なく、豊川さん演じる兼見の苦しみ自問しながらも淡々と過ごす日常が描かれる。このシーンを退屈と思ってしまう人も多いかも知れないが、衝撃的なラストシーンに繋がって行くにはこれで良い。各所に静かで巧妙な伏線を配しているわけですから。
ただ、村上淳演じる右京太夫が藩主としての薄っぺらさでは無く、村上淳の薄っぺらさになっていたこと。兼見と里尾の濡れ場を描いてしまうと直接的過ぎて興ざめしてしまうこと。
などが幾らか気になりました。
とはいえ、平山監督がこんなにも本格的な時代劇を撮れるとは!久世さんの、昨今の”どうです?凄い殺陣でしょう?”的なものでは一切ない凄みのある殺陣!世界観を壊さず、効果的に場面を支える音楽!どれも一流のスタッフさんが、良い仕事をしていると唸らせるものでした。
ラスト15分からの大殺陣から、豊川さんはこの作品とともに伝説になり、必死剣鳥刺しが、観客の胸に鋭く突き刺さること必至です。
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