劇場公開日 2010年7月10日

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「これは見事な平山秀幸監督作品」必死剣鳥刺し たいちぃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5これは見事な平山秀幸監督作品

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

本当に、見事な映画だった!
この映画タイトルの真意を知るのはクライマックスの一瞬のためであるが、それ故に決して忘れることができない映画となった。

能の舞いから始まるが、能が終わった直後、殿中で一人の藩の侍が藩主の側女を刺殺するという衝撃的な場面から始まる。刺殺したのは藩でも地位のある兼見三左ヱ門(豊川悦司)であったが、彼の回想シーンによって、藩の様々な人たちが「藩主の妾が藩政に口出しをして藩主は妾の言いなりになっている。そのために藩の財政を担当する侍は自決させられ、農民への重税もあって藩が危機的な状況になっている…」などと言っていたのが分かる。
三左ヱ門は、そのために藩主の妾を刺殺したのだ。
殿中で刃傷沙汰を起こしたのだから、死罪は免れないと思っていると、1年の謹慎。そして藩の重職への復帰……しかし、それは様々な策略によるものだった。
……といった面白い展開のドラマが描かれる。

また、三左ヱ門の近くには結婚に失敗した彼の姪(池脇千鶴)がいて、妻を亡くした三左ヱ門を慕っていた。

三左ヱ門を演じた豊川悦司は『今度は愛妻家』と並ぶぐらいの名演を見せる。凄腕の剣士としての側面も素晴らしい。

本作は、公開時(2010年)から気になっていた映画であり、同年のキネマ旬報ベストテンにも選ばれて更に気になっていたのだが、ようやく観た。(同年のベストテン作品は全て鑑賞済)
観てみたら、「これは公開時に観ていたら、自分の選んだベストテンにも影響あったかも…」というぐらいの映画だった。……ちなみに、同年の小生が選んだ日本映画ベストワンは『告白』。

さすがの平山秀幸監督作品であったが、『愛を乞うひと』など傑作多数の中、時代劇映画でも傑作を残していたことに感動した。

<映倫No.118695>

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たいちぃ