武士の家計簿のレビュー・感想・評価
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大林さん、神格化され過ぎだと思う
好き嫌いの別れる映画だと思う。普通には無い視点の刺激的な武士物と見るか、ただただ地味な作品と見るか。正直自分としては後者かなと。
そことは別に不可解なのは、猪山家があそこまで経済的な窮地に追い込まれている理由が全く説明されていないこと。当時、例え大藩の上級武士であっても経済的には非常に苦しい状況であったとは知識として知っていても、「だからそういう事で」と乱暴に話を進められてはたまらないです。
地上波だからカットがあるのでは?、と勘ぐってしまうけど、それだと完全版観なければ
映画を語れないことになるので、敢えて無視します。
平凡
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武士である父親は算盤が得意で、藩で経理の仕事をしていた。
息子は父に教わり、その技術を身につけて成長する。
しかし家は貧乏で、色々な苦労をした。
やがて明治維新関連のドタバタで戦争が起こり、
息子はそんな時にも冷静で居続ける父親に反発して家出。
しかし世話になった先でも、これからの時代は剣ではなく、
計算が出来る者が世に必要とされる、と言われる。
やがて帰って来て父と和解。
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何が言いたいのか、あんまりよくわからなかった。
えらく平凡やなあって思ったら、よくあるパターンで、
史実の人をモデルに造られた映画みたい。
そら平凡になるのもしゃーないわな。
今の映画の主人公ってあり得んような奴多すぎるし。
コナン映画とか見てたら、そら普通の主人公は平凡に見えるわ(場)
普通の時代劇とは違う。日本史に興味がある自分は楽しめた。
2度目の鑑賞
他の方のレビューにもあるが
私もNHK「英雄たちの選択」を視聴している
磯田氏の著書が原作となっているとのことで
日本史好きの人間としてはとても楽しみな作品である
加賀藩の下級武士で、現在で言うところの会計担当の猪山家8代目・直之(堺雅人)が主人公
良縁に恵まれ、子供も生まれるが
猪山家が大変な借金を抱えていること知り
家計を立て直すという物語
娯楽時代劇ドラマだけでなく、NHKの大河ドラマやドキュメンタリー番組などでも
下級武士どころか、藩の財政が火の車というのはよく聞く話
横田氏が「英雄たちの選択」で
『当時の武家たちには、収入に見合った支出という考えは一切ない』
と語ったのを思い出す
映画は直之の努力で借金を完済する一方で
息子にもお金と計算の勉強を叩き込む
息子は維新後の新政府軍で経理担当として活躍する
自分自身も若いころにお金の勉強をしていれば
無駄使いすることなく、もっと貯金できたのではと、反省した
残念な清朝銭の、どアップ
原作・磯田氏のファンで、主演陣の堺雅人・仲間由紀恵も大好きなので、期待して拝見。
加賀100万石の財務を握る、藩の中枢を占める上級武士一家の家計が、実は火の車。
家督を継いだ主人公が、これをユーモラスに立て直していく。いかに息子に家業を継がせたか。「昔の武士の厳しいしつけ」も見どころ。
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全体としては、楽しくみることができたのであるが、1箇所だけ、きわめてザンネンな場面があった。
映画の始まりから1:27-35ごろにかけて、父子の葛藤を描いた山場のひとつ(「四文銭の教え」)が描かれ、その中で、当時のコイン「穴銭(あなぜに)」が画面いっぱいに大写しになる場面が2度ある。そのうち1回が、日本の銭(寛永通宝)ではなく、隣国・中国(当時は清国)の銭なのである。
清朝銭は、表裏のうち一面に漢字で「年号2文字と"通宝"」、もう一方に満洲文字で「boo + "(生産地)"」が記されている。この、清朝銭の「boo」字が、息子の直吉のてのひらで2秒ほど大写しになるのである。
息子の年齢から考えて、この場面は1850年前後、このころの銭は、国産の「寛永通宝」ばかり、銅銭・鉄銭(1文銭)、真鍮銭(4文銭)の3種が入り乱れて流通していた時期のはず。
問題の場面にうつった銭が真鍮銭(五円玉と同じ材質の黄色い金属)ばかりだったのは良いとしても、せめて清朝銭は、文字が映らないよう2枚目より下で使い、てのひらの上で1番上に乗る銭は、寛永通宝をつかってほしかった。
親子三代
算盤侍の家系で三世代の物語。二本差しは習いにしかなく、算盤が命の家系。
財政や経費の知識があるから借金しない、家財を売って金策する。江戸末期、武士よりはるかに商家が富んでいたこの時代にこれは立派。さらに、他の武士なら宝になりそうな脇差も売り払う。ここに未練がないのもすごい。
質素倹約は徹底していて、弁当箱はなくなり彩り豊かな弁当は、竹の皮に包んだ握り飯と芋に変わっていく。鯛の絵を並べた祝膳も含め、家族が不平を言うでもなく、むしろ楽しんで工夫していて、悲壮感なくなぜかホッとする。
森田監督の淡々として味のある演出に出演者がそれぞれのピースにうまくはまっている、そんな作品。算盤をはじくようなタッチの音楽も絶妙。
そろばんが父から子へ受け継がれる
江戸時代後期、そろばんを手に藩の財務を管理する、算用武士の生活を描く。実在する書物が元となるノンフィクション映画。
父は仕事に対して熱心で、周囲から「そろばん馬鹿」と呼ばれるほど生真面目な人間だった。藩内の米の横流しがあった際も、台帳から上役の不正も見抜いた。家の膨らんだ借金が発覚した際も、思い切った考えと完璧な家計簿で見事に借金を返済した。祖父が亡くなった際も葬儀費用の記帳につとめていた。
息子(主人公)は、そんなそろばんばかり父の姿を見ながら、父の考え方や指導に対し不満や疑問を持つようになるが、算用武士の家系を見習い、自分も算用武士として、藩に仕えるようになる。父の厳しい教えもあり、能力をかわれ、新政府軍の財務管理を任されるようになる。
バカ真面目でこだわりが強い父であるが、自分自身の芯や正義をしっかりと持っており、家族に愛情を持っている父だった。最終的には、息子もそんな父のことを理解できるまで成長したのではないかと感じた。
無理矢理指導しているように見えて、息子の将来のことを一番に考えている点が素晴らしい。
貧乏だと思えば暗くなりますが、工夫だと思えば
映画「武士の家計簿」(森田芳光監督)から。
江戸時代の後半、武士の生活は楽とは言えなかった。
下級武士だけでなく、身分が高ければ高いなりに出費がかさみ、
気がつけば、もう立て直しが出来ない状況までになっていた、
そんな話は、今でも共通しているところであるが、
主人公、猪山家の八代目・直之は、お家立て直しのために、
家族全員に「驚くほどの倹約・節約」を命じる。
世間体などを気にする親の抵抗をも説得し、家の中の家財は
ほとんど売り払い、貧しい生活で耐えしのぐごとになる。
そんな苦労をしているはずの妻に、直之がすまなそうに声を掛ける。
たぶん、(楽しいと言ったら嘘になりますが・・)という台詞を
飲み込みながら、妻はしっかり夫を見つめて「でも面白いです。
貧乏だと思えば暗くなりますが、工夫だと思えば」と言い切る。
そうか、そんな視点こそ大事だな、とメモをした。
今の世の中、社会的には収入的が少ない人たちに限って、
あまり悲壮感が漂ってないのは、こんな考え方をしているのかもなぁ。
チャンバラじゃない
チャンバラじゃない時代劇。
でも、現代にも通じる物語だった。
加賀藩の御算用者だった猪山直之の家族の物語。
直之の真っ直ぐで徹底した性格は、見ていて気持ちが良かった。
武士というと、プライドが高いというイメージだが
直之は、そのプライドが剣術ではなく、そろばんに向いていたということ。
それを支える駒の内助の功にもほろりとさせられた。
身につまされる
倹約家素敵ですね。身につまされる思いでした。現代映画のアップダウンがあまりなくて、質素な感じが返ってよかったです。仲間由紀恵さんの妻役素敵だったなー。良き妻、良き母、今ではみられない母親像ですよねー。物静かで落ち着く映画でした。音楽もよかったです。
淡々としたホームドラマ時代劇
江戸時代〜明治時代を舞台にある武家の家族のありかたを描いた時代劇。
加賀藩で経理係として働く主人公を堺雅人、その妻を仲間由紀恵。他にも中村雅俊や松坂慶子、西村雅彦など多彩なキャストが家族を演じている。
そろばんばかと周りに言われ、上司にその生真面目さゆえに疎まれたり、でもそれが見込まれ出世を果たしたり、はたまた家の借金に気付いたときは本物の鯛でなく絵に描いた鯛でお祝いをしたり…そんなエピソードを交えつつ、息子や妻との家族の絆を描いている…んだけど、いまいちのってこない感じがするのはなぜだろう?
キャストも題材もとってもおもしろいのに…。
淡々とした語り口、ときおりみせる笑い、家族の絆を感動的に盛り上げる音楽…それらが少しバラバラでかみ合ってない感じがした。老いていく主人公とその妻も、メイクに少し無理があったような…(特に仲間由紀恵なんて設定はおばあさんになっても若い頃と殆ど変わってない;)
例えば周防監督が同じ題材を撮ったらもっとおもしろくなるんじゃないかなぁ…なんて思ってしまいました。
こんな家族になれたらいいな。
優しくてまっすぐなだけの人達が貧乏に立ち向かうお話だったら綺麗すぎて入りづらい内容だったと思います。それが皆ちょうどいい具合にわがままで不器用で可愛くて、親近感が持てました。
この着物はいつか着るから売りたくないとごねるお母さん。身に覚えのある方はたくさんいるのではないでしょうか。
ポスターにもなっている、鯛の絵のシーンは本当に可愛らしいです。
苦しくて暗い場面かと思いきや、息子さんの一言で一気に明るくほっこりした空気に変わる。大島ミチルさんの素晴らしい音楽とあいまって心に残るものになっています。
そろばんを弾いた時に響くあの音もぜひ劇場で聴いて頂きたいです。
残念だったのは
「猪山家の借金が返済されるまで」
という、こちらが主軸だと思っていたものがあやふやになってしまっていたように感じたこと。
これで借金を返済した!!というシーンをしっかり作ってほしかったなあ。
猪山家の皆さんと一緒に喜びたかったです。
そろばん侍、天晴。
タイトルや予告を観た時に、これは面白い題材だと思った。
剣ではなく家計簿が主役…なんて今のご時世に嵌り過ぎ^^;
と、公開時期を勘ぐってしまうほど巧いなと感じた。
さらに実話から生まれた物語ということで、当時の下級武士
達がどんな物を食べて生活していたのか、とても興味深い。
こんな時代劇もアリなのか。と公開を楽しみに待っていた。
監督:森田芳光ということは、おそらく、
よくある普通の感動ドラマにはしないだろうと思っていた。
…当たった。(爆)
これだけの役者を揃えて、幾ら小さな話といえども(一応は)
幕末の激動の時代を生き抜いた家族の物語なのである。
多分監督が違えば、もっとボロボロ泣けるような時代劇にも
なっただろうし、必殺算用仕置人(いないって^^;)のごとく、
バッサバッサと悪を退治する活劇にもなった気がする(強引)
…が、完全に森田節が炸裂するドラマとなっていた。
そもそも、チラシが家族ゲームの食卓並びである。(爆)
しばらく観ていたらなんと、宮川一朗太まで出てきた…!
(この時は心で拍手大爆笑v)
随所にユーモアをちりばめようとした(成功したかは別として)
監督の目論みは仲間由紀恵の「…って言ったらどうします?」
(当時の人が、こんなこと言わないし)にも、よく顕れていた。
しかし、実際の内容の方は身につまされるほど、慎ましく(汗)
(今でいえば)たった一円の重みをずっしりと感じる話である。
代々御算用者として仕えてきた猪山家は、八代目の直之(堺)
の代になって、改めて家の借金が膨らんでいることに気付く。
一計を案じた彼は、家財道具を売り払い、家族に質素倹約を
誓わせ、詳細な家計簿を記していくことを実行にうつすが…。
息子の着袴の祝いに、膳にのせる塩焼き用の鯛が買えず、
嫁が描いた鯛の絵で代用する場面。見栄失っては武士の恥
ともいえる失態(見た目は)なのに、とても潔く気持のいい場面
だった。世間への体裁ではなく、息子への何よりの贈り物と
なったこのシーンには、実は後日談がある。ラスト、ここでの
シーンが再現されるが…私は今作のここで、はじめて泣けた。
「にらみ鯛」にちなんだ、もうひとつの大切な想い出。
家計簿に記されなかった(おそらく)
子供の記憶にもきちんと残っていなかったその想い出こそが、
そうまでして家族を守り抜いた父親の決意であるのと同時に、
誰よりも何よりも我が子を大切に思う親の真心の顕れである。
猪山家、天晴。
(家督を継ぐ苦悩もリアルだが、それが実を結ぶのもリアル。)
新しい切り口、後半が暗いかな
シュールリアリズムの追求って難しいですね。作者も武士は一人では歩かないって言ってますが中村雅俊、一人でしたね。
近年の邦画ではかなり出来がいいと感じましたが、秀作とまでいかないかな。
私は原作が好きだったのでとても良かったです。
本物の侍
「そろばんバカ」の猪山直之(堺雅人さん)の真っ直ぐな生き方は、見ていて気持ちが良かったです。
江戸から明治へと時代が変わる乱世の中で、彼は見事に家を守り抜き、息子にその会計術の全てを授けます。
家に借金があると分かり、売れるもの全てを売り払い、倹約して借金を返していく様子は、
大変そうだけど明るかったなー。
仲間由紀恵演じる直之の妻、お駒が、直之に「(倹約生活は)辛くはないか」と聞かれて、
「貧乏と思えば苦しいですが、工夫だと思えば、楽しいです」
みたいな意味の事を言うのですが、それが何となく印象に残りました。
この夫婦の雰囲気は、本当に微笑ましいものがありました。
出会いから、苦楽を共にし、共に老いていく姿が、とても羨ましかったです。
(堺さんファンだから仲間由紀恵に嫉妬したということではなく笑)
息子が生まれて、袴着のお祝いの席で、食事に鯛が出せず、普通の焼き魚の前に鯛の絵(お駒が描いたもの)が置かれた膳を親戚一同で囲む姿は、ハラハラしたけど面白かったです。
色々と苦難は耐えませんが、それでも猪山家の人々は絶望することなく日々を生きていきます。
真面目すぎるほど真面目な直之に呆れながらも、一緒に借金返済のため協力し合ってがんばる猪山家の人々は、茶目っ気たっぷりで、質素な生活もなんだかコントに見えてしまいました。
ただ、直之の父(中村雅俊)の葬儀の夜も、葬儀費の帳簿を付ける直之の背中に「そろばん侍だから?」と問いかける息子の直吉は、とても悲しそうで、胸が痛かった。
でもこの場面は、最後のとても重要な締めの伏線となるのです。
それから、家の借金を返す途中の倹約時代に、直之が幼い息子に四匁の過不足も許さず、ひろった銭を夜中に河川へ戻しに行かせるシーンは、あまりにも厳しすぎるのではないかと思いましたが、それが、刀ではなくそろばんが武器である猪山直之にとっての譲れない矜持だったのだと今は感じます。
やはり、実在の人物の人生を映画にしたものなので、きれいな起承転結で終わるわけではないのですが、
このように生きた人が本当にいたのだなあ、と感動することができました。
刀を振るうことは全くなかったけれど、彼は(彼らは)紛れもない本物の侍であると感じました。
江戸時代の家計立て直し・・?
江戸時代末期、武士はこうしていたのかと言う、ある家族の家計の立て直しのお話。
年収にしたら、父と子合わせて、1200万円だったらしい。これは会場でもらった新聞に出ていた。お金持ちと思うが、あると思って、好きに使っていたのか、とんでもないことに。これに気がついた、息子夫婦が、思い切った家計の立て直しを。これが、ここまでやるかと言うくらい徹底しているので、笑える。
現代にも通じる藩の問題や明治時代に移り変わる激動の時代・・そう言うことも絡めて、描いている。家族のあり方も考えさせられる。とてもいい作品だと思う。堺さんと仲間さんの優しい笑顔に癒された。
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