「日本だったら受け入れる器がない」プレシャス マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
日本だったら受け入れる器がない
普通の夢見る16歳の少女なのだ。それなのに、現実はどうしようもなく切ない境遇である。日本だったらニュースになり週刊誌のネタになるぐらいだ。実情は知らないが、この映画の背景がほぼ現実的だとしたら、もはやゴシップにならないほど日常的で、犯罪の範疇にも入らないのかもしれない。その代わり、こうした境遇の子供達を受け入れる施設もあるのだろう。日本だったら、政府の対応以前に、うやむやに隠蔽されそうである。アメリカにしても、これが白人だったら同じように隠蔽されそうだ。ある意味、これも人種差別ではないか。
プレシャスの境遇も悲惨だが、母親の苦しみも並大抵ではない。プレシャスにあたる気持ちも分かる。母親役のモニークの声が印象的。
温かさをもって接するフリースクールの教師(ポーラ・パットン)、母親の告白に涙する福祉課の担当官(マライヤ・キャリー)が巧い。
不遇を跳ね返して地をしっかり踏みしめて前向きに生きる・・・そんなラストだが、そうは簡単にいかんだろうなという思いで観終わる。
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