「ブラボー!な悲喜劇。」モリエール 恋こそ喜劇 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラボー!な悲喜劇。
名画座にて。
俳優の江守徹がこの「モリエール」から芸名をとったとは
知らなかった^^;いやはや、そんなに有名な人だったのね。
コメディ・フランセーズの創始者ともいわれている。
予備知識がないうえに、公開されたのも知らなかったが
いやはや、ブラボー♪ブラボー♪すごく面白い作品だった。
かの「恋におちたシェイクスピア」のフランス版?ともいえる
出来の良さ。彼の空白の歳月にスポットを当て、もしも
こんな体験が彼の作品に影響を与えたのだとしたら…
という、フィクションながら説得力抜群の作品。素晴らしい。
モリエール役のR・デュリス。
どうもこの人の口や顎の骨格がニガテなのだが^^;巧い!
笑いから泣きまで存分にモリエールを堪能させてくれる。
そしてなんといってもこのヒト、F・ルキーニ。
何やらせても巧い!とはこのヒトの代名詞なんじゃないかと
思うほど今回もハマり役。真面目な顔で笑わせる笑わせる。
なんたる芸人なんだと(あ、俳優さんでした)毎回唸らせる。
この二人に加えて紅二点、
マダム役のL・モランテの美しさと貫録を醸したユニークさ、
セリメーヌ役のL・サニエの傲慢で生意気な美しさ愛らしさ、
さらにイケメン貧乏伯爵の立居振る舞いにも笑える笑える。
主要キャストにおける完璧なコメディを堪能できる。
かと思えばタイトルにもある「恋」という点で、胸を剥くような
悲劇(一部喜劇)も用意されており、笑いだけで終わらせない
脚本と演出の妙技を堪能できる。ラストは感動して泣けた。
喜劇を悲劇へと転調させたシェイクスピアにもあるように、
それは背中合わせの紙一重ということか。本人にとって
忘れ得ぬ哀しみこそが喜劇を生み出す原動力となるように
経験は必ずや自身になにかを見出す能力を与えてくれる。
出逢わなければよかった恋など、なかったのかもしれない。
(司祭タルチュフ、モリエール作品の登場人物だったのね^^;)