「個人的には笑えないが、コメディー映画ファンやこの作品の俳優ファンにはOKかも?」ヤギと男と男と壁と Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
個人的には笑えないが、コメディー映画ファンやこの作品の俳優ファンにはOKかも?
この物語は83年のフォートブラッグ基地・米国謀報部の一室にいるジョージクルーニー演じるリンのアップから始まる。そして限りなく実話に近いお話とテロップで記されるシーンから始まる本作品・
私はこの作品を観ていて、「ちょっと何これ?これが実話に限りなく近い話なわけなの?どうしても納得できないよ!何処から何処までが本当で、どこからがフィクションなのかサッパリ見当が付かずに全く解らない作品だ!」と言う想いに囚われたのだ。
ただ映画のファーストシーンの説明に有る様に、この超能力特別作戦技能チームと言う部隊が極秘に存在し、秘密作戦の1部として存在すると言う事も可能性としては考えられない事では無いのかも知れない。
透視能力や念力を使用する事で、敵との交戦に影響を与える事が出来ると考えて研究が開発されて来ていたのだろう・・・
多くの人命を奪い、また自然環境を破壊するなどの、多大な犠牲を生む戦争と言う魔物がその1方では、科学の技術革新や、技術産業の進歩発展に貢献して来たと言う人間の文化の皮肉がある事実を考えるなら、まんざらこんな超能力と言う分野の研究開発が真剣に開発されようとしていた事も有っても決して不思議な出来事では無いのだろう。
しかし、戦争程の敵身方関係無く双方に対して、多大な破壊のみを生産する、負の遺産である戦争と言う魔物を行うその過程で、敵国の戦略よりも少しでも優位に立つ為に、未開発分野である超能力を駆使して、戦争に勝利するその為の研究開発を行う事が、真剣になされて来ている事実に対して、個人的には大きな怒りを感じてしまうのだ。コメディー映画としてブラックユーモアの1つとして笑って映画を観ると言う事が出来なかったのだ。チャップリンも、喜劇の要素を取り入れて、戦争風刺の作品である「殺人狂時代」「独裁者」などの作品を残しているが、それらの作品と同類として冷静にこの作品を見過ごす事が正直私には出来なかったのだ。
現在世界の様々な地区で起きている戦争や、テロ組織による紛争は、数千数万と言う人命を奪い、その戦死者の家族の人生にも一生涯の負の遺産を強いる戦争に対して超能力を駆使してまでも、戦争を行うと言う人間のエゴや、愚かさを考えると、笑いの1つも出て来る要素は無く、人間の文明の負の側面に対して悲しみが込み上げて来た。文明では無く、人間の野蛮な負の感情側面と言うべきだろうか?
イラク戦争で、我が国は、自衛隊をサマワに派兵していたのだし、遠い外国の人達の行っている自分達の生活に関係の無い異民族の出来事と、簡単に済ませる事は出来ない。
このイラク戦争でも、多くの化学兵器が使用され、大勢の人々が被爆している可能性があるのだ。自衛隊員の中にも帰国後被爆した隊員がいる可能性も有るのも事実だろうと思うのだ。私は数年前にアメリカに於いて、イラク戦争に参戦した兵士に会う機会が有り、その中には、劣化ウラン弾等による化学兵器使用の後遺症と思われる、被爆に苦しむ兵士を目撃しているのだ。戦争風刺の意味で、あえてこの様な作品が製作されるのだろうと考えるのだが余りにも、現在の戦争はその被害が多大な為に笑い事には成り得なかったのだ。
話が映画のレビューから大分逸れて、戦争批判になってしまいましたが、戦争映画を単なる、映画として、娯楽の一環として観る事なく、これが現在私達が暮しているこの惑星地球で起きている人間のエゴの1つである事をしっかりと心の片隅に憶える事も大切な事だと思うのだ。