「感動等は無いが、俳優たちの熱演を引き出す演出力には感服」悪人 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
感動等は無いが、俳優たちの熱演を引き出す演出力には感服
李相日 監督による2010年製作(139分/PG12)日本映画
配給:東宝、劇場公開日:2010年9月11日。
「国宝」を見て李相日監督に興味を覚えて、本作を視聴。
映画評論家たちの評価はとても高かった様で、自分的にも地方での若者の生活のやり切れなさがリアリティを持って切実に描かれていて、少し前の日本の地方を見事に描いたよく出来た映画とは思わされた。ただ、どこか計算されたあざとさも感じ、東京に暮らす自分からは遠い世界の様で、感動というか気持ちの部分はあまり動かなかった。
ただ、一方で俳優たちの演技はとても良かった。何よりも、深津絵里のコレマデ浮いた話の一つもなかったという女性の期待や変貌していく様の表現には、女優としての覚悟と凄みを感じた。金髪ということもあるが、生真面目な殺人者を演じた妻夫木聡も、今まで見たキャラとは大きく異なり、かなり驚かされた。御曹司で女にモテル最低な奴を演じた岡田将生も、まさに本当に嫌なやつそのもので感心。
満島ひかりも、妻夫木に殺されても同情できない様な女性を説得力を持って熱演し、樹木希林、柄本明、および宮崎美子も、印象に残る演技を見せて、李相日監督の演出力の高さを見せつけられた思いはした。
最後の深津絵里に罪が及ばさないための妻夫木聡の嘘演技は、物語・脚本としては、意外性や斬新さはないものの、まあ主人公の良き人間性、一種の救いの様なものを垣間見せてくれて合格ラインとは思った。
監督李相日、製作島谷能成、 服部洋、 町田智子、 北川直樹、 宮路敬久、 堀義貴 、畠中達郎、 喜多埜裕明、 大宮敏靖、 宇留間和基、エグゼクティブプロデューサー市川南、 塚田泰浩、プロデューサー仁平知世 、川村元気、ラインプロデューサー鈴木嘉弘、原作吉田修一、
脚本吉田修一 、李相日、撮影笠松則通、美術監督種田陽平、照明岩下和裕、録音白取貢、美術杉本亮、装飾田口貴久、衣装デザイン小川久美子、ヘアメイク豊川京子、スクリプター松澤一美、編集今井剛、音楽久石譲、助監督久万真路、制作担当前村祐子、音楽プロデューサー岩瀬政雄、 杉田寿宏。
主演
妻夫木聡、深津絵里、岡田将生、満島ひかり、樹木希林、柄本明、宮崎美子、光石研、塩見三省、松尾スズキ、余貴美子、井川比佐志、永山絢斗、山田キヌヲ、池内万作、モロ師岡、
河原さぶ、でんでん、山中崇、韓英恵、中村絢香、広岡由里子、二階堂智、猫田直、樋田慶子。

