劇場公開日 2010年9月11日

「共感できる」悪人 キーチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5共感できる

2010年9月27日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

すべての登場人物の行動が理解でき、また何故そういうを行動、思いになるのか考えさせられる。そんな作品でした。

出会い系で出会った人物が深くつながり合う。一見ありえない展開であるようだが、人と人は出会った瞬間にその人物がどのような人かわかる部分がある。波長と合う部分というか、上手く表現できませんが…。

10年一緒に居てもわかり合う事ができない事もあるし、瞬間的に、普段自分の隠している感情の部分を理解し合い、通じ合う事もある。そんな事をこの作品を通じて、あらためて確認しました。

そう考えるとラストは必然だと思います。

役者も一人一人がベストもしくはベストに近い演技を見せています。特に樹木希林。魚を捌く姿や、米をとぐ姿、何気ない動きひとつからも目を離す事ができない圧巻の演技でした。

またほんのチョイ役ですが、余貴美子も良かった。この女優は本当に出演作品の空気感をそぐ事なくいい演技をみせてくれます。

そして、妻夫木聡。役の上で顔が良すぎという感想もありますが、自分の地元(北海道)にもああいうタイプの友人がいます。顔の肌荒れ具合や唇のカサカサ感、似合っていない金髪をはじめとする外形の役作りももちろん、将来への閉塞感も上手く表現していたと思います。

個人的にはいくつかいらないエピソードがあったのと、頑張っていたけどセックスシーンにもの足りなさが残りました。特にこの2人にとってセックスシーンって重要だと思うんですよね。一回目と二回目で感情の変化を感じる事ができましたが、いろいろな理由はあれども、出会い系で出会った二人な訳ですから上半身だけで無く、全身から沸き出す感情と欲の交わりを感じさせる演出をして欲しかったです。

好き嫌いはあるかもしれませんが、万人にオススメしたい良作です。

キーチ