劇場公開日 2010年9月11日

「脚本が映画的ではない」悪人 antさんの映画レビュー(感想・評価)

1.5脚本が映画的ではない

2010年9月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

脚本を担当しているのは原作者と監督だがこれがよくない。小説なら色々なところに寄り道をしながら主人公たちにフォーカスするのはありなのだが、映画では最初からフォーカスさせるべき。時間は短くても満島ひかりではなく深津絵里からはじめないとだめだ(おそらく監督が深津ではなく満島に惚れたんだろうね)。時系列通りにやっただけというかもしれないが、それなら殺人場面を飛ばすなんて論外だ。このせいで大学生が逃げている理由や祐一が最初に疑われない理由がよく分からない(作業用の手袋を使ったので指紋が出ない等)。むしろ満島はフラッシュバックとして何度も登場させるべきだろう。

全体を見ても小説家がこうすればいい画になると考えそうな場面が多く、さほど効果的ではない。やはり本職を雇うべきだった。それでも最近の説明過多のテレビ局映画よりはましなのだが、それだけでは寂しいではないか。

妻夫木聡と深津絵里は悪くないが、深津が妻夫木にひかれる描写は弱い(脚本家は主人公たちだから関係をもって当然と思ってるのか?)。物語に厚みを出すための脇役のエピソードもパッとしなくて、話が立体的にならない。もっと良くなる可能性はあっただろうが中途半端に終わった一本。

ant