「【”悪人世機” 人間の善性と悪性の狭間で生きる愚かしくも寂しき男女の姿を描いた作品。観る側に深遠な命題を問いかけてくる作品でもある。】」悪人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”悪人世機” 人間の善性と悪性の狭間で生きる愚かしくも寂しき男女の姿を描いた作品。観る側に深遠な命題を問いかけてくる作品でもある。】
■感想
・登場人物のほぼ全てが、バランスの差異はあれど、”悪人”であり、”善人”である。
ー但し、湯布院の老舗旅館のバカ息子圭吾(岡田将生)だけは、善性が限りなき薄き、悪人であると思う。ー
・思いを寄せていた佳乃(満島ひかり:軽佻浮薄な女を好演している。)から侮蔑的な言葉を投げつけられた孤独で、閉塞感を抱える日々を過ごす祐一(妻夫木聡)が、咄嗟に起こしてしまった事。
ー佳乃の”悪性”が描かれる。そして、そんな女性に育てた両親(柄本明、宮崎美子)の責任。では、祐一に悪性はないのか・・。彼を育てた祖母(樹木希林)の”人を容易に信じてしまう姿が、印象的である。ー
・祐一と光代(深津絵里)が、お互いに惹かれた理由は明白で、”孤独で、閉塞感を抱える日々を過ごす”者だからである。
ー二人が、お互いを慰めるように、貪るように行う性愛行為・・。ー
・佳乃の父(柄本明)が、執拗に圭吾に詰め寄るのは、彼が誰が本当の悪人であるかを父親としての本能で察したからであろう。
ー 佳乃の父が呟く言葉が心に響く。
”今の世の中、大切なひとのおらん人が多すぎる・・”
この言葉が、この作品の根底を支えている。ー
<”人間の善性と悪性とは、何か・・”という哲学的な命題を観る側に突きつけてくる作品。重いテーマを真正面から取り扱った重厚な作品でもある。>
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