「中年にキビシイ作品。」東京島 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
中年にキビシイ作品。
原作はまったく知らずに観たのだが、これにはベースとなる
アナタハン島の女王事件というのがあって(すごい!)こちらの
史実を読んでいる方が数倍面白かった…というか怖かった^^;
まぁなんというか…どんな女だろうと(木村多江じゃなくても)
あんな状況下になれば、男は皆ひとりの女に集るだろうな~。
いわゆる性的な欲求が強く描かれる話になるのかと思いきや、
なんだかコメディタッチでけっこう支離滅裂、あり得ない話に
仕上げきったところが…良いのか悪いのか、といったところ。
私は正直、主人公の女にもっと共感できる要素があるのだと
思い込んでいた。彼女が男から自立して大活躍する話になる、
なんて勝手に想像していたもんだから、アレまぁ…という感じ。
でも結局、こんな立場は経験してみなければ分からないけど。
生きるか死ぬか、永住するのか出ていくのか、一瞬の判断が
自分の命を左右するギリギリのサバイバル合戦である。
男を武器にしようが、女を盾にふるまおうが、生きるためなら
何だってやるさ!という感情の表し方が功を奏し誰もが巧い。
だが…よくよく考えればその大量に上陸するフリーター軍団は
過酷なバイトから逃げてきた連中なので、男らしいはずがない。
そんな奴らから1人選んだところで、寸での所で逃げ出すはず。
後半に出てくるワケ分からないフィリピーナや、謎の中国人達
の方が(汚いけれど)よっぽどサバイバル精神にのっとっている。
なんかこう、見たくない人間行動をトロピカルなコメディ感覚で
ややブラックに魅せているところが微妙に笑える(失笑だけど^^;)
物語は…私的にすごく長く感じた。え?まだ続くの?みたいな。
もうそのへんで終わらせといたらどうですか、と言いたくなる位
どうしようもない展開が延々と続くが、確かに無人島で毎日を
を過ごしていたら、こんな時間が延々と続くんだろう…と納得
しつつ、だからってなんなんすか、あのラストは?感も否めず。。
無人島に舞い降りた感覚の新しいコメディなのかもしれないが、
グロテスクでもエロでもなく、真っ白なTシャツを着てワイワイと
やっているのが、お祭り映画だったんだ、という印象を受けた。
まぁ…都会だろうと無人島だろうと、人生はサバイバルです。
木村多江は思ったよりキレイで(あ、すいません)ノーメイクでも
アップに耐えられる品の良い御顔立ちである。
だから鏡を見て呆然とする場面は不自然かと思ったりもして^^;
窪塚、福士、柄本、阿部、と若手も豪華。
比べて夫役の鶴見辰吾があれだけの出番というのにも泣ける。
東京も東京島も中年にはキビシイ、ってことなんでしょうかねぇ。
(アナタなら、たんぱく源を何から摂りますか?夢に出そうだぁぁ)