「サスペンスとしてもラブストーリーとしても不完全燃焼だが、役者の好演に多少救われた」行きずりの街 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンスとしてもラブストーリーとしても不完全燃焼だが、役者の好演に多少救われた
タイトルから、大都会の闇を描いた本格ハードボイルドを期待していたんだけど、アレ、ちょっと違った…?
塾講師・波多野は、失踪したかつての教え子・ゆかりを捜す内、元妻・雅子と再会する。名門女子高の先生と生徒だった波多野と雅子は、雅子の卒業後結婚するも、それがスキャンダルとなり、波多野は学園を追放された過去があった。やがて失踪事件の裏に、学園が絡んでいる事を知る…。
少女の失踪劇はただの入り口で、話は学園の黒い陰謀劇へ。ああ、タイトルから想像した大都会のハードボイルドは何処に?
学園に不条理に裏切られた男の孤軍奮闘が始まると思いきや、別れた妻と再会、未練たらたらの男と女の想いが再燃する。
最後は木刀を持ち、耐え忍んできた男の怒りが爆発する。
妻と学園、男が訳ありの過去ともう一度向き合う構図はイイが、サスペンス?ラブストーリー?…どっち付かず。
パッとしない終わり方も不完全燃焼。
ただ、役者は皆好演。
仲村トオルはコミカルキャラのイメージを封印し男の哀愁をたっぷり滲ませ、小西真奈美はしっとりとした色香立つ美しさ。
石橋蓮司、菅田俊、江波杏子、ARATA、南沢奈央、谷村美月、佐藤江梨子…脇にベテランから若手の役者が贅沢に揃い、中でも窪塚洋介が画面に出る度に場をさらう。「GO」の後の奇行でビッグスターになり損ねたが、やっぱり光る個性は持っている。
雰囲気は悪くないが、後一味魅力に欠け、惜しい。
監督・阪本順治×脚本・丸山昇一×東映ハードボイルドなら、「カメレオン」の方が良かった。
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