「役者は素晴らしい」行きずりの街 世間知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
役者は素晴らしい
阪本順治という監督を良く知らないからなんでしょうか。私はあまりこの映画に乗れませんでした。とにかく「いびつ」だなぁと終始思ってました。映画における「いびつさ」というものは好転すればチャームポイントになって生涯ベストクラスのインパクトを与えてくれることもあります。でもこの映画にとっては欠陥でしかなかったですね。
前半がとにかく冗長にして退屈。不要なシーンが多く,そのせいで登場人物(特に仲村トオル)が何を背景に動いてるのかが全く分からなくて物語に入り込めなかったです。1時間15経過した辺りからは程良い緊迫感が出てきて楽しめましたが。
役者はすごく頑張ってました。南沢奈央を初めて良い役者だと思うことが出来ましたし,何より窪塚洋介のただものでない雰囲気は作品に唯一マッチしてました。石橋蓮司には相変わらず萌えざるを得ない,誰もが度肝を抜かされる(?)あのセリフは完全に力技ですけど物語を全て収束させる力がありましたし,それを可能にする石橋蓮司の存在感には感服です。それだけに,役者を使いきれてないことに意識がいってしまう。ARATAとか谷村美月とか,あんな中途半端な使い方するならもう使わない方が良かったんじゃないでしょうか。笑わせる為としか思えないスローモーションとかも同様ですね。これは小西真奈美の顔にかかるんですけど。役者の演技を邪魔する無駄なエフェクトにしか思えませんでした。
とにかく,役者は頑張ってるのに演出など作り手の力量不足が諸々を邪魔してました。役者の演技を活かしきれない残念な映画だなぁというのが今作の印象です。
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