シングルマンのレビュー・感想・評価
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陰鬱だけど美しい
ゲイの話とは知らずに観ました。
コリン・ファースは美中年とは言えないですが、
この悲哀を帯びた知的な風貌、いいですね。
愛するパートナーを亡くして死ぬほど悶え苦しんでいる
男のその後、の話ですが。
そう、他人を楽しませるためにあるわけではない人間の
人生とは、不条理で残酷です。
楽しい映画ではないけれど、心に何かを残します。
3.2
ただの同性愛がテーマの映画じゃなくて、もっと深い何かを伝えようとしていた。ぼくにはまだわかってないかもしれないけど。
なんて言うのかわからないけど、色が鮮やかになったり、単調になったりする技法がよかった。
映画館で見てたらかなり引きずってたかも
見終わった後にこんなにずんずんくる映画はなかなかないです。
見てる間はひたすらに淡々と。前評判の映像美を堪能しなければということにも気をまわす余裕もあり、見終わった後もそれほど感動を覚えたわけでもありませんでしたが。
ところがところが
一時間二時間とたつごとにじわじわと心に迫ってきちゃっています。
いつもと同じ日常が気持ち一つで色彩がかわる
生きていることは結局自分でどうにかしてよいものではない
これ映画館で見たらやばかったかもなとも・・・
パッケージ詐欺
下調べ無しで借りたが、内容は男と男の恋愛話であり、
男を恋愛対象と見ない男性としては、視覚的に感情移入し辛かった。
ある程度理解はできても
映画の登場人物に自己を投影させるところまではいかない、ということ。
色々な題材を扱っているならともかく、
恋愛話に感情移入できてこその映画だと感じたので、
要するに観る映画を間違えた。
パッケ―ジだけを見て借りたのが原因だが、
パッケージは男女の写真であり、作為的なものを感じたのでそこが低評価。
一人の男の半生
長年のパートナーだった恋人を亡くした主人公の半生を、物寂しげな音楽と秀逸なカットで描いている。
とにかくどの画も美しい。
ゲイカップルなのが注目されがちなようだが、だから何かが特別ということは無い。
死から再生していく大人の男の愛の物語。
そして、ラスト。
監督は無常観の持ち主なのか?
とても良い映画だがラストはちょっと…
大人の男が美しい
悩めるコリンファースが、とにかく良かった。大人の男性がとにかく美しい。コリンファースは、年を重ねるごとに、いい味がでてきている。二枚目半のコリンファースも好きだけど、抑えた演技もなかなかです!ストーリー的には、終わり方がなぁ~とも思ったけど、映像が美しく深夜ひとりで見るにはとてもいい映画でした。
自らの体内を探る映画
静かな深海。冷たい水、温かい水を掻き分け、ひたすら真っ暗な海を泳ぐような。
そんな神秘的かつ哲学的な作品。
コリン・ファース主演という理由だけでこの作品を手にとったが、まさかこんなにもエモーショナルであったとは…。衝撃です。
彩度や明度の違いで心情を描く手法を体験したのは始めてでしたが、非常に興味深かったです。
甘美
男性が主人公なのに、いや、だからこそ際立つ甘美さ。画面に漂う、ぎりぎりを責めてくる緊張感。
そこにあるのはただただ、暗くて、甘くて、優しくて、美しくて。
Nicholas Houltの美しさといったら。
好きです
教授の人生の物語が淡々と静かに進み
山場なく終わるので、好き嫌い
分かれるかも?
私は好きでした[m:50]
レトロ感たっぷりで家や車、
インテリアや衣装がオシャレ
で大好き[m:49][m:49]
映像も若干、レトロな感じ
でいい[m:76]
何か物足りない・・・!
登場するものすべてが美しい。
主演のコリン・ファースから端役まで
住む家からそのインテリア、そして周辺の住宅まで
主人公の愛、過去、また新たな人間関係まで。
ただ、回想シーンも含めて、物語の展開に緩急が少ないせいか
観終わったときの後味がいい意味で 皆無?
じっくり見るには物足りなかった気がします。
ゲイのイメージが変わった
2013/01/03
難しい系(・ω・)考えさせられる系。
最近のバラエティ番組や女の子向けの映画とかで、
キャッキャしたゲイのイメージが定着しちゃってて、
「えっ、ゲイのコリン・ファースってどんなだろ???」
と思いながら見たら、、、
全然普通なんだよね。いい意味で。
男とか女とか関係なく、死んだ恋人との関係は
穏やかっていうか暖かいっていうか、
深くて、本物の愛ってかんじで。
16年も一緒にいたパートナーを失った悲しみ。
プラス、自分はゲイで、
まわりのひとにはなかなか理解されない苦しみ。
そんなゲイのとある一日。
あとからじわじわくる映画でした。
絶望と、ユーモアのあいだ
ファッション・デザイナーとして世界的な地位を確立しているトム・フォードが、イギリスの名優コリン・ファースを迎えて描く、人間ドラマ。
最愛の恋人を亡くした男が辿る、最期の1日。そのテーマを知った時点で容易に想像できる絶望と、哀愁が満ち満ちる物語。しかし、不思議と本作にはその闇の部分が過大に存在を主張してこない。その代わりに現れてくるのは、柔らかな暖かさと、センスの良いユーモアである。
日の光、海の輝き、草原の清冽。トム・フォードがファッションを通して世界に示してきた確固たる美意識が、本作でも貫かれている。それでも、これまで映画以外の分野で活躍してきたアーティストが手掛ける映画作品に多々見られる、無意味な表現、目を覆いたくなる陳腐な小道具はない。
ユーモアとギャグ、ぎりぎりのラインを的確に理解し、思う存分映像を手懐けて遊び回る。主人公を演じるコリン・ファースも一歩間違えば「薀蓄たらしの好色オヤジ」で片付けられてしまうところを、哀愁漂う大学教授の美しさを絶妙な表現で描き切ることに成功している。
俳優陣の設定も、ぬかりなし。どこか哀愁が漂いつつも、何故か微笑みかけてしまう愛嬌も兼ね備えた個性的な顔が終結。気持ちの良い統一感に、この作品をまとめあげる一人の監督の強いリーダーシップを感じさせる。
程よいスピード感と、無駄の無い設定。人間を見つめ、いかに人間を活き活きと見せるかを実証してきた監督の力が結実した意欲作である。
古き良き映画
あのトム・フォードが監督したという事で同じ業界にいる者として
事前に高評価とは聞いていたものの
期待半分・冷やかし半分で劇場へ観に行きました。
実際に観てどうだったのかというと・・
もう号泣でした!
内容は・・
1年前に恋人(男)を事故で亡くした大学教授の男(コリン・ファース)が
悲しみが時間では解決しない事を悟り
自殺するまでの1日を追った物語です。
冒頭はやや荒いオールドシネマを彷彿とさせる様なトーンの映像で
主人公の心の空虚感を表しています。
コリン・ファースの演技と相まって細かい心理描写が
非常に丁寧でしかも説明多過になっていないのは見事です。
大学の美学生にアプローチを掛けられ動揺しつつも
閉ざされていた心が少しずつ開いていく段階を
冒頭から続いていた粗めのダークトーンから
徐々に画面全体が明るくライトトーンになっていく様子は
主人公の心の変化をトーンと演技で感じさせてくれていると同時に
観ている側への心の疑似体験とも重なる様に感じられます。
まるで最近の映画なのに
古き良き映画を観た様な
心地良い感覚です。
亡くなった恋人との思い出の琴線に触れると
フラッシュバックする過去の映像は
亡くなる直前から出会いまでを
徐々に戻っっていくのですが
出会った瞬間のコリンの表情を観たら
もう涙が止まりませんでした。。
衣装やロケ地も時間や予算等の様々な制約がある中で
GUCCIを復活させた見事な手腕が
映画というカテゴリーでも如何なく発揮されており
特にコリン・ファースの衣装(トム・フォード)や
寂れた大学、主人公の自宅など内容と完璧にマッチしています。
原作の小説をトム・フォード自身の実体験(本人もゲイ)を
取り入れて大胆に脚色した内容は
人生がこんなにも愛に満ち溢れ
素晴らしくもあり切ないと思わせてくれます。
本人曰く当分撮らないみたいですが
次の作品も楽しみです。
最近は、これ映画にする意味あるの?
みたいな作品が多くなってきています。
バカが作ったおバカな恋愛映画を観るよりも
何千倍も良い映画です。
余談ですが・・
出張中にこの映画を観て
帰りの飛行機でパンフレットを読んでいたら
CAに「私も観たいと思っていました。どうでした?」と
声を掛けて頂きました。
「オススメです」と私。
「じゃあ、必ず観ますね」とCA。
あぁ・・観て良かった。。
というわけで
もう公開は終わっていますが
「劇場」で観てパンフレットを機内で観るのがオススメですW
沁み込んで来るシークエンス
唖然としました。
終わっちゃったよ、という。
「はあ!?」という怒りにも似た気持ちさえ抱きました。
何か淡々と、ある男の人生の中の一日を、只、観させられた気分。
そこら辺のおっさん(境遇や込み入った事情あれど)の心情を詩的に描かれたって…で、あの結末!?という。
そこからですね。
何となしに映画のシーンを振り返る訳です。
彼の一日の行動、回想なんかをツブサに。
すると、いつの間にかじわじわ沁みてるのに気付くんですよ。
心に浸ってる、あらゆる場面が。
彼を追体験してる。
彼の嗜好は関係ない。自分が彼になってる。
自分は彼みたいにゲイではないけど、彼の痛みが手に取る様に感じる。
愛する人の喪失感は一緒ですしね。
と、同時に人生の素晴らしさなんてモノも、一日の生活のウチに幾つも見えてくる、てのを教えてくれました。
一生のウチのほんの一日。それが輝けるってのは結局、自分の見方、目方で決まるんだな、と。
いや、観て良かったです。
ただ、やっぱり万人受けする映画ではないですよね。玄人好きするというか、観る人を選ぶというか。
好かれる人には非常に愛される映画だとも思います。
自分にしたって、観終わってから良さに気付いた訳だし。
暫く、彼が心に住み着いて離れそうにありません。
完璧な美しさゆえに、悲しみや切なさが増す物語
大学で文学を教えるジョージ(コリン・ファース)は、
傍目から見れば何一つ不自由のない豊かで優雅な生活を送っていた。
大学教授という地位、美しく整えられた住まい、
一分の隙もなく着こなした仕立てのよいスーツ…
しかし、ジョージの心はぽっかりと、うつろに穴が空いたまま。
8ヶ月前に、16年間暮らしを共にした最愛の恋人ジムが
交通事故で死んでしまったからだ。
そしてジョージはとうとう、
今日という日を人生の最後の日にしようと決意する。
そして、家の中や大学の研究室を整理し、
家政婦への気遣いも忘れず整えていた。
ところが、そんなジョージの異変を察した男子学生が
心配してジョージの元を訪れてくる。
人生の喜びを再び見出しそうになるジョージだったが…
なんとも端正で美しく、そしてその美しさゆえに、
切なさが増す物語です。
なんといっても監督があのトム・フォードなので、
インテリアにしても衣装にしても、
センスが良すぎるほど良いのは当たり前なのですが、
その美しさがいっそう、主人公の悲しみを引き立てているような。
美しい家の中で、センスのよい服を身にまといながら、
泣くこともできず悲しみを持て余すジョージ。
その姿は、どんなにお金や地位があっても、
最愛の人を失ったという悲しみの前では
そんなものは何の役にも立たない、
ということを残酷なほどにまざまざと見せつけています。
一人ぼっちで途方にくれているただの男…
この作品の原題"A Single Man"の"A"が持つ不特定的な響きから
この広い世界にたったひとり、
“ぽつん”と取り残されてしまったような心もとなさが心に広がります。
そして、やはりさすがトム・フォード!と思ったのは、
“最後の一日”を覚悟して
いっそう繊細になっているジョージの心の動きを、
映像を通じても見せてくれるところ。
ごくフツーの私たちでも、恋をすれば世界はキラキラ輝いて見えるし、
失恋すればくすんで見えるものですが(そうですよね??)
そんな心の動きによって目にも違って映る世界を、
映像としてちゃーんと見せてくれます。
ふだんは鬱陶しく見える隣家の日常が、キラキラと色鮮やかに見えたり、
ちょっとした言葉に傷つき白黒に見えたり、
嬉しい人を見つけてその世界がまた色を帯びたり。
色+画面の質感を駆使して表すそのセンスは、
さすが、時にセクシーすぎると評されるほど
官能的な服をデザインしてきたトム・フォードならでは!!
彼のセクシーはつまり、五感の限りを刺激し駆使して、
限りある生を存分に堪能し楽しみ尽くそう、
というものなのではないでしょうか。
そして、そんな彼のスーツに身を包んだコリン・ファースは
トム・フォードの美学を具現化したように、
美しさと危うさを備えていて
これまでの中で一番心に刺さりました。
シンプルに淡々と、隅々まで整っている
画面の端から端まで、
物語の始めから終わりまで、
職人技のような美しさが張りつめている。
とても初監督作とは思えない仕上がり。
色彩、構図、ファッション、ロケーション、キャスティング
全てにおいてセンスのよさがにじみ出ている。
脚本にしても、無駄をそぎ落として
テーマやキャラクターが浮き彫りになっている。
コリン・ファースをはじめ俳優陣の演技も、抑えが効いていて
観ているほうが、もどかしく息苦しくなる。
孤独と向き合う切なさと、
一貫した美しさに
ため息があふれ出てくる作品でした。
映像的には素晴らしいけれど、オカマ目線が露骨すぎますぅ(^_^;)
本作は、冒頭からスタイリッシュで繊細な映像に圧倒されてしまいます。最初に登場し、何度もリフレインするハダカの男が海で溺れかけている映像も。至高の美しさ。さすがは、デザイナーでゲイの監督ならではの感覚です。男をこれほどに美しく、愛しみをもって描けるクリエーターは他にいないのではないかと思えました。
そして始まるストーリーは、愛するパートナーを失ったジョージが、今日が人生最後の日だと決意し、世間で演じている大学教師としてのジョージであろうと自らを奮い立たせるところから始まります。
そのダンディな着こなしから、部屋のリビングに至るまで、全てがフォード監督の美意識が凝縮されていて、一部の隙もありません。しかもそんなファッションセンスが鼻につかないのは、愛を失った喪失感と自らも死に直面しようとする心理描写が濃厚で、観客の注意がそちらに向いてしまうから気にならないのだろうと思います。
またカーラジオやジョージの講義で語られる当時のキューバ危機とジョージの緊迫した心情が見事にシンクロしていて、ただならぬ雰囲気をもたらしていました。
なかでも、人生最後の日だと思って眺める下界をどう感じたかという心理描写が巧みです。細かいカット割りに中に、ジムの事故当時の映像や近所の人々の幸福に暮らしている笑顔をスローモーションで散りばめて、主人公の喪失感を強調していました。
但し、ゲイとしての視点が露骨なので、男を見る時の瞳や唇のことさらながらのアップのシーンなどに生理的な嫌悪感を感じる人もあるかも知れません。映画『ミルク』では、ゲイを社会的な視点で表現されているのに比べて、本作はかなり個人的なオカマ目線で表現されています。その点で、映像的な素晴らしさとは別に個人的な好みの問題が出てきそうな作品だと思います。
作品に登場するジョージのストイックさが、死の準備を着々と整えていたのだと冒頭からネタバレを知っておいたほうが本作では、深く作品の世界に触れられることでしょう。
最後には意外な終わり方をするのですが、だからなんなんだというのが見終わった正直な感想です。『愛の喪失』というのは分かるけれど、映画の世界には、それだけでは終わらない希望が語られるからドラマになるのではないでしょうか。
もちろん、本作でも希望はありました。かつての恋人であり親友のチャーリーとの親密な語り合いあい、ダンスを楽しむなかで、一瞬気持ちが癒された場面もあったのです。
そして教授の異変を察知した教え子のケニーは、心配してわざわざジョージの自宅まで訪ねてきました。美男子で、ジョージと同じような人生への孤独感を持っているケニーに、ジョージは魂を揺り動かされて、人生の輝きを見て、思わずジムと出会ったころのときめく自分を思い出していたのでした。
しかし監督は、無常と喪失に抗うものを結局は描きませんでした。
小地蔵は勝手に思うのですが、監督の心理の中に、不幸を愛する心情を潜在的に隠し持っているのではないかと思います。そんな深層心理が、ジョージをゲイに押しやったのではないかと感じてしまうのです。
それはチャーリーの意味深な台詞が、気になったからです。ジョージは、本当の愛から逃げて、ゲイとして偽りの愛に迷い込んだのではないかとチャーリーはつい苦にしてしまいました。それに対してジョージは突激高して反論します。お前は9年しか結婚生活を続けられなかっただろう。私とジムとは16年も続いたのだ。お前に言う資格はないと断言するのです。
でも小地蔵は、チャーリーの見方が正しいように思えました。ひょっとしたら、チャーリーを本当に愛しているあまりに、彼女を傷つけたくないと、自らはゲイに走ったのかも知れないのです。ジョージは、自分はゲイで充分なのだと自己卑下していたように感じられました。 それは単なる主観ではなく、ジョージの職業においても、チャーリーに言わせれば立派に一流大学の教授を務められるだけの博識を持ちながら、三流校の教壇に甘んじているのは、ジョージの自身に対する卑下する気持ちが強いからだと思ったことによるものです。
そんなジョージの感情を投入しているフォード監督もどこまでが真性のゲイであるのかすら疑問に感じます。ただ作品に描かれる感性は、極めて女性的で繊細さを感じさせてくれます。
作品から溢れてくる耽美的な雰囲気から察するに、きっと監督は自己愛が強いのでしょう。それ故に罪の意識で畏れおののいているのかも知れません。そんな気持ちが、本作での自己破滅願望を生み出したモチベーションに繋がっているのだろうと想像します。
素直にチャーリーの愛を受け入れて、「希望を与える存在」になって欲しかったです。
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