息もできないのレビュー・感想・評価
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逃れられない現実
狂気に満ち溢れた粗野で暴れん坊なサンフンよりも女子高生のヨニの方が逞しく強く人生を歩んでいる。
膝枕をされて泣きじゃくるサンフンを包み込む優しさで寄り添うヨニが泣くのを我慢しながら泣いている。
お互いの過去を打ち明けている訳ではないのに理解しているような同じ時間を共有する二人。
複雑に絡み合う人間関係にそれぞれの思いが交わり合いそうで脱線してしまう不器用な生き方。
二人のキャスト陣以外も絶妙なバランスで無駄が一切感じられないし主要人物それぞれに感情移入できる人物描写が素晴らしい。
サンフンの最後は悲しいが彼の周りは順調に動き始めてハッピーエンドかと思いきやヨニの厳しい現実は変わらずエンディングロールが流れても観ている側は息もできない余韻が残る。
命ある限り生きるしかない。
切なくて反吐が出る
サンフン役があまりにもハマってる。他の役者もピッタリだと思う。
最初から最後まで陰鬱だし主人公のサンフンの生き様には決して共感も出来ないのだが何故か涙が出てくる。
たぶん僕にとって今まで観てきた映画の中で三本の指に入るであろう名シーンは、河原での膝枕のシーン。
サンフンの泣き方、泣き声、その後、一緒に泣くシーンは胸を打たれた。
とにかく韓国映画はどうしても日本映画と比べてしまうのだが、ラスト付近のサンフンがハンマーでボコボコにされた後のアップのカットはそのリアリティも相まって日本の映画では絶対に観られないカットだろうと思った。
いやはや深いため息の出る映画でした。
容赦ない負の連鎖
息もできない、本当に。
台詞の半分以上は「クソ野郎」
字幕の台詞の半分以上は「クソ野郎」
ヤン・イクチュンが辰吉丈一郎にみえてしゃあない。でも(でもっておかしいけど)初めての長編作で製作・監督・脚本・編集・主演と1人5役やってこの出来は素晴らしい!
家庭内暴力、負の連鎖、愛情の表現の仕方が分からない主人公。
実はサンフンがヨニの母親の死に関係していたり、ヨニの弟がサンフンとヨニの関係を知らずに同じ組で仕事していたり130分もあるのにこの辺の伏線をまるで広げずに話が進んでいくところが潔い(ま、しっかりエンディングに繋がって哀しさを誘うわけやねんけど)。
ちょっと気軽にみる映画、ではない。
“それでも暴力の連鎖は止まらない”
“それでも暴力の連鎖は止まらない”
ここに最低の男が居る。
何かにつけて暴力で自分の存在を示す。
ここに悩める少女が居る。
どうにもならない現実に絶望している。
この2人が出会う。
男は悲しい過去の記憶から脱却しようとして、暴力的になってしまった。
少女は、そんな男の底辺に潜む優しさに惹かれたのか、男の一方的な誘いにしばしば応じる。
まるで傷付いた2羽の鳥が、お互いの傷を舐め合う様に。
映画は一見恋愛映画の様な体裁を装うが、本質的な物は全く違う。
「高校生か?」
主人公の男は時々そのセリフを吐く。
なぜなら、男は暴力に対しての“或る踏ん切り”を高校生の時に感じたから。
実はその時、或る人物を悲しみの底に突き落としていた事を本人は知らない。
幸せな家庭に憧れる2人。
男は恥ずかしがり屋の性格故に、自分だけでは無く姉の幸せも同時に企む。
少女はやっと見つけた生きがいに喜々としていた。
崩壊した家庭が、少しずつだが新しく再生しかけて動き出したその時…。そんな幸せな空気を、切り裂く様に鉄槌が振り下ろされる。まるで“あの時”の様に。
それを行う人物は“あの時”の家族の人間。
お互いの存在を対照的に捉え、更なる悲劇へと向かわせる。まるでシェークスピア悲劇を見ている様だった。何と言う恐ろしい作劇術か。
凄い監督が現れたものだ!
(2010年4月22日シネマライズ UP theater )
息もできない感じ
冷徹な借金取りの男が男勝りな女子高生と出会いお互いが置かれている辛く苦しい現在過去から少しずつ解放されて行く姿を描く純愛ストーリー。母と妹の死の原因を作った父親に対して強い憎しみを持っているサンフン(ヤンイクチュン)は女子高生のヨニと知り合う。二人はそれぞれの境遇から逃避するかのようにお互い惹かれ合う。
ヨニと出会って優しさを引き出されたサンフンだったがヨニの弟であるヨンジェがサンフンの部下になり運命が変わる。
漢江でのヨニのひざにサンフンが頭を載せるシーンは涙が流れた。
サンフンは愛を知り亡くなることになったが死の時期としては幸せな最中だったからよかったのかもしれない。
なかなか良い映画でした。
韓国作品の底力
取立て屋サンフンにとっての一筋の光は同じような目をした女子高校生、ヨニだった。
彼が彼女に言った一言が心に沁みる。「どうやって生きていったらいいのか教えてくれないか…」「私を幸せにすることを考えて生きて…」
辛い過去によって自分の存在を暴力の中でしか、見いだせなかった男。一方、ヨニも戦争での忌まわしい体験(これも最大の暴力)から発狂してしまった父親や、金欲しさから短絡的に暴力の道を選ぶ弟を持つという、同じような辛い家庭に身をおいていた。そんな二人が心通うようになったのは必然だったのだと思う。主人公がようやくマイナスをゼロにして、踏み出すことを決めた矢先、自らの「つけ」を支払わされることになる。
やはり…と予想できる展開だったが、ヨニが弟に、サンフンの姿を重ねみていたと思えるシーンは泣けてきて、切なかった。
演技ではない、役者たちの圧倒的な真実味を持った暴力シーンに、それこそ息苦しくなった。暴力、暴力、暴力。その本質は連鎖だという事を徹底的に知らしめている作品。でも、それだけでなく、暴力の痛みは心の痛みでもあったということもきちんと描いていた作品だった。
泣ける
しゃべくりのTSUTAYA007で観て借りた。
久しぶりに映画で泣けた。
韓国映画は初めて観たけどとてもよかった。
サンフンが架け橋となって幸せな雰囲気をつくっているのがよかった。
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