「今日の一句『血の嵐 謎の丸投げ 飛ぶガンツ』」GANTZ PERFECT ANSWER 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
今日の一句『血の嵐 謎の丸投げ 飛ぶガンツ』
田中星人やネギ星人etc.個性的な宇宙人が登場する奇想天外かつ、妙にユル〜〜いSFタッチのルール設定が前作の魅力だったが、今回のマッチメイクは人間型で一般人を巻き込んだ虐殺デスマッチが繰り広げられており、至ってシリアスな血生臭さが立ち込めている。
更にメインマッチのターゲットを巡り、プレイヤー達の間で仲間割れが生じるため、バイオレンス度が全面に押し出される死闘に嫌悪感を覚えた。
電車を好む人間には、尚更、引きずる血みどろ具合である。
答えの見えない無差別デスマッチが熾烈化を辿るうちに、内容に麻痺していく自分に気付く。
最終的にかなり冷めてしまったのは、物語のゲーム性ゆえか、中盤以降、輪廻転生がグチャグチャに崩壊し、死に対する感覚が置き去りになるためかは原因は漠然としたままだ。
んまぁ、東日本大震災や無差別テロ、老人介護福祉士という職業上の立場etc.etc.現実の方が人命が軽くあしらわれている事に自然と慣らざるを得ない世の中やからかもしれないと言ったら、それまでである。
そもそも根本的に腑に落ちないのは、謎が謎のまま終わってしまっている事に尽きると思う。
サブタイでPERFECT ANSWERと銘打っている割には、ガンツ・宇宙人の正体、戦闘の意味、プレイヤーの生死etc.全ての疑問において、回答率は不完全である。
丸投げの丸とは、今作の場合、ガンツそのものじゃないかと評しても過言ではない。
特に2人の松山ケンイチは今作のうやむやな後味の悪さの象徴的キャラクターと云えよう。
あと、全然活躍していないのに常にドヤ顔で仕切っている田口トモロヲの権威も理解できない。
『バトルロワイヤル』以降、『20世紀少年』
『SAW』etc.糸口の無い殺し合いに無差別に巻き込まれ、人間不信となった主人公自身も人々を殺しまくり、クリエーターの倫理観や哲学を突きつけられ、いつの間にか終わっている消化不良な虐殺モノが多くなってきている。
現実はもっと凄惨な世界だが、未だに私はこういう殺戮を量産化したエンターテイメント映画を楽しめない。
原作ファンはどうぞって感じです。
相手を躊躇させずブラックに徹するフッ斬れた北野武・立川談志師匠の偉大さを改めて痛感した帰り道であった。
では最後に短歌を一首。
『血は黒く 連ね駆け込み 丸くなる 掌に解く(説く) 転送の雨』
by全竜