「映画は人情編。」GANTZ PERFECT ANSWER ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
映画は人情編。
原作はまだ未完で続いており、謎も残されたままらしいのだけど、
映画版ではそれをパーフェクトなアンサーとして公開しちゃうなんて
ずいぶん勇気あるなぁ^^;と思った。
友人がほぼ読破しているので、ちょこっとだけ借りて読んでみた。
う~ん…観やすい画ではあったが、私はあんまり惹かれなかった。。
とにかくこういう殺し合い&点数稼ぎゲームには今ひとつ、のれない。
歳だから…?(爆)それもあるか^^;
ただこの映画版、思ったほど悪くなかった。前編もけっこう良かった。
やはり主役にあの二人を据えたことで、演技にある種の人情が加わって、
感情移入できたことが要因かなと思う。で、後半もまたあの二人なので
ソツなく観ることができた。原作ファンには程遠いストーリーに?なって
しまったそうだが、私は映画版しか分からないので、これはこれで好きだ。
映画の方は単純明快。謎は謎で残しっぱなし(爆)だけど、
言いたいことはこちらに伝わってきているので、とても分かり易かった。
玄野と星人との闘いはかなりの高得点になっていて、いよいよ加藤を
生き返らせる準備が整いそうな頃、巷ではやたら強力な黒服?軍団が
結成されており、それが地下鉄でGANTZのメンバーや市民に襲いかかる。
容赦なく人間を殺していく破壊力を観れば、コイツら人間じゃないなと
分かりはするものの、彼らの背景がまったく分からない。やがて決着の
のち、GANTZの過去歴が判明し、なぜか卒業生?達が呼び戻されている。
死んだ人間がGANTZに召集されて、星人と闘って高得点を得ると記憶を
消されて現世へ戻されるのだが、なぜまたこの部屋へ呼び戻されたのか。
そしてあろうことか、前編で死んだはずの加藤がこの件に関わっている。
メンバーにとっては「?」だらけの展開となるが、謎解きはけっこう早い。
原作ファンからすると、もっと星人がたくさん出てくると思ったそうだ。
今回は前編のようなおかしな星人^^;がほとんど出てこない。代わりに
マトリックスですか?みたいな黒服と(これはこれでカッコいいんだけど)
あとは加藤…ほぼ加藤…そのもの?まるっきり加藤…との闘い、となる^^;
アクションシーンはかなり観応えがあり、スピード感も申し分なく、まるで
ターミネーターばりに殺してもやっつけても生き還る不気味さが良かった。
ただまぁ、こういう同じようなシーンばっかりがけっこう続くんで^^;
つまり、このあとは、こうなるんですよね?が早々に見えてきてしまう。
そこは少し、残念だったかな。
玄野と多恵のエピソードにはけっこう泣かされる。(遊園地でも)
この多恵という人物をなぜ標的にもってきたか。ここがポイントなのかも。
最も弱く素直で純粋な人間を殺すという理不尽な残忍さ。
星人側にも星人側の言い分があり、それはごもっとも。だと思った。
闘いたくて闘っているのではないGANTZのメンバーにしても、ここで死ぬ
わけにはいかないという様々な思いが交錯し、結局は自身を守るために
仲間でさえ切り捨てて殺そうとする。この矛盾を生む背景にあるものは。
過去の戦争において、強制的に招集された若者が、下された戦地に赴き
相手国の人間を殺し、ひたすら勝利しての帰国を望んでいたのと似ている。
勝たないと帰れない。戦争も終わらない。自分も家族も幸せに暮らせない。
いったい何を引き替えにすれば、この矛盾から逃れられるんだろう。
ラストで玄野が下した決断は、良い悪い、正しい誤ってる、の概念を越えて、
それしかなかったのだ、を物語る。大いなる矛盾は黒い玉GANTZそのもので
あるという解釈から、最も人間らしい答えを導いたことになる。英断であって
そうするしかなかったのだろうと思いつつ、謎は継続されたままなのである。
(ボスのCMの宇宙人ジョーンズは、この惑星で楽しくやってるのにねぇ^^;)