「そのラストが有りなら何でも有りじゃん」GANTZ PERFECT ANSWER といぼさんの映画レビュー(感想・評価)
そのラストが有りなら何でも有りじゃん
原作は5巻くらいまで鑑賞済み。前作の実写版GANTZも鑑賞済みです。
前作は銃やスーツなどのガジェットのクオリティの高さ、敵の星人の造形などは非常に高く評価しておりました。若干の不満点はありつつも、満足な作品でした。
ただ、今作はダメです。アクションシーンだけはワイヤーアクションを使って迫力があり、前作よりも良くなっていたと思います。しかしそれ以外の部分、ストーリーや演出などは違和感を感じるところだらけですし、何よりもあのラストは「そりゃないだろ」と思わず声をあげてしまうほど、ありえないラストでした。
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電車に轢かれて命を落とした玄野(二宮和也)と加藤(松山ケンイチ)は、ガンツと呼ばれる謎の黒い球体によって生き返り、異形の星人たちと戦うことを強いられた。ある時、加藤は戦いの中で命を落とし、玄野は加藤を生き返らせるために星人との戦いを続けていた。ある日、玄野の前に死んだはずの加藤が現れた。加藤が生きていたことを喜ぶ玄野だったが、ちょうどその頃からガンツの様子がおかしくなっていく…。
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GANTZ二部作の後編になります。なんでわざわざ前後編に分けたのかは不明ですが、どこかの映画監督さん(三池崇監督だったかな)が「前後編とか三部作にすると予算が増える」って言っていたので、多分そういうことなんだろうと感じます。ぶっちゃけ、原作とはあまり関係ないオリジナル脚本の後編をくっつけるくらいだったら、前編で終わらせておいて「俺たちの戦いはこれからだ」みたいな締めにしておいた方がよっぽど纏まりが良かったですね。今作はまごうことなき蛇足だと思います。
先にも述べましたが、単純なアクション映画としては戦闘シーンのクオリティは上がっていました。前作の不満点であった「せっかく人数が多いのに一人ずつ戦って死んでいく」ところは改善され、複数人で一斉に星人に襲い掛かるようなシーンが増えたり、ワイヤーアクションを使った迫力のあるチャンバラアクションは普通に見応えがありました。前作に引き続き、銃やスーツなどのガジェットはクオリティが高いため、非常にカッコよくて映えます。
しかしながら、ストーリーや脚本に関しては「酷い」の一言。
説明的なセリフが多いため観ていて違和感があります。GANTZを過去に経験した卒業生たちが記憶を取り戻したシーンとかは状況をいちいち口に出して説明するので違和感だらけでした。
特に酷いと思ったのが、あのラストシーン。あれはホントに酷いです。
これまでの壮絶な戦いをまるっきりなかったことにしてしまう展開。「それができるなら最初からやれよ」「GANTZの指令で星人と戦って死んだ人以外も生き返ってるのかよ」「じゃあ今までなんで星人と戦ってたんだよ」という感じで、その辺の謎とか一切置き去りにした思いつく限りの最悪のエンドです。
これは物語制作において、やってはいけないタブーとされている「デウス・エクス・マキナ」に他なりません。GANTZの後を継いだ玄野君が全てを無かったことにしてめでたしめでたし。あり得ないですよ。終わり方の酷さで言えば「実は全部玄野君が見ていた夢でした」と大差ないですよ。それぐらい酷いですからね。
前作で終わらせておけば、多少中途半端でも悪くない作品だったと思うんですけど、後編という蛇足を付けてしまったせいで私の中の評価が地に落ちてしまった感じですね。こういう蛇足的続編が今後生まれないようにしてほしいものです。