「もう一度、お願いします!」SPACE BATTLESHIP ヤマト Jesus of Nazarethさんの映画レビュー(感想・評価)
もう一度、お願いします!
見るか見ないか悩んだのですが、
意を決して見てきました。
しかし・・・
決して『つまらない』とまでは言いません。
また『わくわくする』シーンが皆無だったわけでもありません。
でも、はっきり言って私にとってこの映画は、
『宇宙戦艦ヤマトの実写版』でも、
『世代を超えて楽しめるエンターテインメント』でも、
『木村拓哉のための映画』でもなく、
単なる『消化不良』でした。
(面白かったという方には申し訳ありませんが・・・)
この際、個々の話はどうでもいいです。
そもそもアニメにしても(今にして思えば)辻褄が合わないことは幾らもありましたし、
色々なレビューを見て、設定の違いはある程度わかっていたので、
自身の思い入れは封印し、出来るだけ好意的に見ようと意気込んでいました。
だから、地球防衛軍の長官が「日本人の皆さん」にしか語りかけなくても、
地球上に当たり前のように日本人しかいないくても、
その割に「世界に挑むSFエンターテインメント」であっても、
所詮はフィクションですから気にしないようにしました。
火星で日本軍を圧倒的な力でやっつけたガミラス艦隊がその後全く出番がなく、
登場したと思えば散発な攻撃をあっさりかわされ、
波動砲1発に蹴散らされても仕方ないですし、
挙句に母星の基地を1箇所爆破されただけで、
侵攻をあきらめ自爆攻撃に走ったのも、
その一つ一つについては文句は言いません。
流石に「ガミラス」や「イスカンダル」が地球人が勝手につけた名前で、
「放射能除去装置」も作り話だと言われたときには
唖然としましたが、これも何とか耐えました。
でも、ここまで設定をいじったのに、
ヤマトのクルーに大した活躍の場すら与えず、
何ともあっさり地球に帰ってくるのに生存者は僅か数名。
これでも『宇宙戦艦ヤマト』なのでしょうか。
また製作費が途中で無くなってしまったのか、
ちゃんとした戦闘シーンは僅かに3回しかありません。
それも艦船との戦闘はどれもほぼ秒殺で予告編と大差なく
これでは楽しむ暇もありません。
大体、全長500mを超える戦艦にもかかわらず
死傷者と生存者の人数を考えると、
そもそも30~40人しか乗っていない設定だったようで、
主要キャスト以外は戦いもしなければ死にもしないので
迫力のある戦闘シーンなど期待する方が無理かも知れません。
※実際の戦艦大和は4分の1程度の大きさで乗員2千名以上、
ヤマトより小さいスタートレックのエンタープライズ号でも
400名以上の設定。
かといって、全編を通じて木村拓哉が頑張るのかといえばそうでもありません。
軍人なのにラストを除けば無謀な割に決断力が無く、
敵が冒頭のガミラスだったらとっくに全滅しています。
尤も、いつも通りの二枚目ぶりは健在ですので、
こういう役柄を称して彼のための映画と言うのかもしれませんが、
恋愛がテーマなドラマという風でもないことを考えれば
もっとアクションだってこなせたはずなのに、何とも残念です。
言いたいことはつきませんが、
あれもこれも盛り込もうとした結果、
どれも中途半端になった気がしてなりません。
俳優さんはその中では頑張っていたように思えますので、
出来ればもう一度設定を変えてトライしてもらいたいと思います。