赤と黒(1954)のレビュー・感想・評価
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ジェラール・フィリップとは
なるほど、彼にしか演じられない訳だ。
それよりも、良かったのは
レナール夫人(タルーラ)。
彼女のキャラクターが面白いし、
いちいち行動が可愛らしい。
しかし、心の内はだいぶ膿んでいそう
演技も凄くて、もっと他の作品が観たくなった!
野望溢れる若者の階級社会への挑戦
ストーリー:75点
キャスト:65点
演出:65点
ビジュアル:70点
音楽:65点
能力も美貌もあるのに、生まれが悪いというだけの理由で不当な扱いを受け成功への道が閉ざされている若者の屈折ぶりが興味深い。作品に存在する個人の能力が簡単に無視される階級社会への批判的な見方に共感することもあり、私はこのような、自らの将来のためには自分の感情を押し殺して演技をする狡賢くて野心家な男が嫌いではない。だから彼の屈折ぶりも含めて常に計算しながらのその行動の行方が気になって楽しかった。最もこの手の作品にありがちな、結局は特権階級への壁を突破することが出来ず失敗してしまっているという結論が作品の冒頭にいきなり出ているので、彼の上昇志向の野心と堕ちていく過程を楽しむということになる。 そしてその過程で何が起きたのか、裁判の後はどうなるのかという結論がまたお楽しみ。
原作は言うまでもない巨匠スタンダールの名作であり、それを読んでいないのだが本作品は原作にかなり忠実らしい。物語はそのぶんしっかりとしていたが、古い映画だけあって演出が多少古臭い。それと主人公は本来は20歳程度でとても若いのだが、30歳過ぎの俳優が演じているために大人の話になってしまって、若さのままに野望に走り散っていく儚さが削がれているように思える。
ソレルの輪郭をもっとくっきりしてほしかった。
ジェラールの魅力が満載で眼の保養になる(笑)ただ歴史に翻弄される人々の動きがあまりはっきりとあらわれていないのが残念。ソレルをもっと荒削りで野心家に仕上げてほしかった。だけど3時間超える作品で飽きないのはすごいので4つ。
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