シェルターのレビュー・感想・評価
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筋立ては珍しく無いけど、色んな要素が一枚上手の佳作
開巻早々の舐め回すようなカメラワークから何やら嫌ァな緊張感が漂っている。
そしてそれが最後まで持続するのだから、なかなかすごい。嫌な汗をかかせてもらいました。
多重人格を扱った映画は多いけれど、この手の映画の題材として扱ったのは珍しいかも。
初めはサイコスリラーかと思いきや、多重人格患者のJ・R・マイヤーズが首をバキボキ鳴らした瞬間から物語は恐ろしい方向へ。
ミイラ化した死体やらミイラみたいな婆さんやらが出現し、一向に正体の見えない怪異に戦々恐々させられる。
主人公の精神科医を演じるJ・ムーアが流石の演技。父親との関係に悩む娘の顔と、幼い娘を想う母親の顔を見事に演じ分け、非現実的な物語をリアルに見せている。
患者を演じるJ・R・マイヤーズも1人7役(だったはず)をこなし、なかなか不気味で良い感じ。声音を変えたり姿勢を変えたり……なんか演じてて楽しそうな役ですな。
その患者がなぜ多重人格になったかという所が話のミソだが、ネタバレせずに書くのがなかなか難しいのがツラい。
少し挙げるなら、神への信仰が物語の重要な要素のひとつではあるが、キリスト教について詳しくなくても何ら困らないし、別に信心/不信心を非難するような内容でも無い。その辺りが苦手な方でも安心して御鑑賞を。
他のホラー映画に比べてアイデアやストーリーがずば抜けている訳では無いけれど、演技と演出は堅実だし、何より話の運び方が巧みで、最後までダレる事無く観られる。怪異を引き起こした人物が判明する瞬間は、それが誰だか分かっていてもゾッとさせられたし、クライマックスの展開はまるで予測がつかなかった。
とはいえやっぱり不満はある。怪異の原因となった事件が、そのおぞましさの割りには描かれ方がアッサリし過ぎているとか、「多重人格の理由がアレなら、出てくる人格の数が少なくない?」とか。何より過去の事件で大切な人を亡くした主人公が、それでも信仰心を失わずにいられる理由が良く分からない。まあこれは僕みたいに信仰に疎い人間だとピンと来ないだけの話かな。
そうそう、後味はかなり悪いのでご注意を。
あんな薄気味悪い鼻唄、作るんじゃないよ!!
<2010/3/28鑑賞>
化学と宗教なんだな~。
サスペンス物特有の、最初は何が何だかわからない展開で、始まる。
それが、話が進むに従って、少しずつ明らかになっていく正体。
前半の細かな点が、後々「そうだったのか~」に繋がる。
化学と宗教。
相容れないものの代表だ。
平均的日本人の私は、宗教を信じていいるわけではなく、”困った時の神頼み”人間だ。
だけど、「化学的」には、あり得ないストーリーだけど、人間の欲や業をうまくついていて、思わず見入ってしまった。
終わり方には、賛否両論あろうかと思う。
きっと、毛嫌いする方もいらっしゃるだろう。
でも、私は、サスペンス的には、この終わり方もありね!と思う。
宗教を信じる方がたくさんいる欧米では、どうなんだろうか。
こういうサスペンス物に欠かせない、ジュリアン・ムーア。
彼女の持つ神秘的な雰囲気が、この作品には、ぴったり。
また、多重人格者を演じたジョナサン・リス・マイヤーズ。
彼の、人格の演じ分けも見応えあり。
音で2回びっくりして、飛び上がってしまった。
映像は、大丈夫だった。
首カックン
ニコラス・ケイジと同様に出る映画を選ばないジュリアン・ムーア、もちろんこれは良くないほう。ただし映画によってテンションが違うケイジ(手抜きとも言う)とは違っていつもテンションを変えないのが彼女のやり方。今回も強い女過ぎるようなことはない。キャストが地味なのでジョナサン・リス・マイヤーズとの二人芝居の場面も多し。
脚本が「“アイデンティティー”」の人なので最後にはツイストがあるがそこへの伏線は弱い。ただなんで彼女が狙わないで娘が狙われるのかはきちんと理由がある。
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