「ぶっ壊そうとしたところで。」ケンタとジュンとカヨちゃんの国 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
ぶっ壊そうとしたところで。
映画の内容以前に、顔ぶれを観ていたら気付いた。
この作品、やたら二世俳優や兄弟だらけだなぁ~と。
監督「大森立嗣」は麿赤兒の長男、弟は大森南朋。
「松田翔太」はもちろん、松田優作の次男。
「安藤サクラ」は奥田瑛二と安藤和津の次女。
「宮崎将」は宮崎あおいの兄。
「柄本佑」は柄本明の長男。お父上も本作に出演。
…探せばまだいるんじゃないか?と思ったくらい、
なんとも豪華な二世祭り~!といった感じなのだが
内容はいたって暗い^^;
二世といっても、それぞれがもうかなり活躍している
俳優たちなのでみんな巧い。自分の役割を忠実に演じ、
監督の期待に答えているという感じ。。
孤児院育ちで自分たちの居場所を未だに見出せない、
劣悪な環境下で働いている若者二人に少女を加えた
三人の逃避行劇がメインなのだが、意味不明なほど
彼らのどうしようもない苛立ち感(過激なうえに静かな)
がこちらに伝わってくる。おバカとはいえ、昨今の若者
映画に見られるような軽々しいドライなタッチではなく、
どこまでも重い精神映画を見せられているような感じ。
加えてケンタの兄までがその感性を助長させている。
行き着いた場所に答えなんて、果たしてあるんだろうか。
重々しい男性陣の演技に反比例する紅一点・カヨちゃん。
安藤サクラの演技は特筆モノで、これほど自分をブスに
魅せた女優も珍しい。バカでブスでワ○ガという難役に、
よくぞここまで酷い台詞を…と嘆きたくなる程の演技力。
今作は、彼女あっての作品だといえる。
自分の居場所探し。。という作品を度々見かけるが、
現在の場所から抜け出せば大きな幸せが待っていると
アテもなく旅に出て、様々な出逢いから人生を決める
決断をした果てにまた、振り出しに戻るケースが多い。
それでも知らないよりはまし。ここに意味があったのだ。
と、自己納得してエンディングを迎えるのが通説になり、
なんだ結局、今の世界を大切にしろ。っていうことかと
映画だけで旅をした自分への充実度に貢献してしまう。
たまにこれでいいのか?と思うけど^^;元々不満がない。
彼らの懲りない生きざまにそんなことを感じてしまった。
(自分の人生を他人に押し付けること自体が無謀だし)