「胸つまり息苦しくなるほど激烈な母から子への愛情」フローズン・リバー septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
胸つまり息苦しくなるほど激烈な母から子への愛情
東京FILMeXにて鑑賞。
1本前の『意外』は超満員でしたが、
コチラの作品は、チラホラと空席がありました。
2009年アカデミー賞主演女優賞ノミネート
2008年サンダンス映画祭審査員大賞受賞
他には、米国の違法入国に関る2人の母親の
壮絶なドラマ、この作品紹介に魅かれました。
しかし、
まさか、この97分後、
体が震えるほどの衝撃に
襲われることになろうとは、
このとき知る由もありませんでした。
☆彡 ☆彡
なに、これ
胸が締めつけられて
メチャクチャ苦しいんですけど
上映終了後、
大きな拍手が劇場を包み込みました。
私は、
スクリーン内に広がった
極寒の地さながら、寒気に
襲われ、鳥肌をたててしまいました。
興奮は、すぐにはおさまらず、
上映終了後に行われた監督のティーチインで、
思わず、挙手をして、質問をしてしまいました。
さらに、パンフレットを購入し、監督の直筆サインをもらう。
極度の興奮状態になると、
どうも私は歯止めがきかなくなるようです(苦笑)
◇ ◇
コートニー・ハント監督。
今作が、長編初監督になります。
実際にあった話を
当事者に取材を敢行。
最初は短編作品を製作。
その後、メインキャストを
そのままに、今回の長編を作ったそうです。
①異文化
②2人の母親
③子供へ有形無形の愛情
この3つが作品のキーポイント。
以下、なるべくリーフレット内に留めつつ記載します。
①白人と原住民モホーク族
これは実話を脚色。
まずは根深い人種差別。
驚いたのは、モホーク族が住む土地を
保留地と名づけ、米国内の法律が適用されないこと。
国境近くの保留地外。
白人運転の車はパス。
モホーク族運転の車は職質。
②この本来なら交わるはずのない2人が、
白人母親レイの夫が新居購入資金として
貯金していたお金を全額持ち逃げしたことが原因で接点を持つ。
最初は、お互いに銃を
向け合うほど、壁を作り、拒絶しあう。
③しかし、レイは愛する2児を育てるため。
モホーク族のライラは子供を叔母から取り戻すため。
不法移民を密入国させる危険な仕事に身を染めていく。
その中で、お互いを知り合い、
やがては、“友人”と呼びあえるような仲にまでなっていく。
◇ ◇
胸を締めつけられたのは、
“友人”と呼びあえるようになるまでの過程。
白人レイ。
最初はライラを利用しているだけだったんです。
もう自分のことしか考えていない。エゴ丸出し。
ところが、
最後の最後で、
ある行動をとり、
ライラを“友人”と口にするんです。
そして、ラストカット。
昼間のシーンは他にもあったのに、
それまでで一番明るく感じる、希望に
満ち溢れた素晴らしい映像に、震えながら感涙したのでした。
☆彡 ☆彡
え~、詳細を書き出したら、
絶対に、文字数が足りなくなる(苦笑)
それほどに、胸をうたれたのですが、
上映後、監督への質疑応答。なぜか、男性が多い。
わたしこれも初体験だったのですが、
質問じゃなくて、批判めいた意見が多かったんです。
“父親が一切登場しない”
このことに対する批判。
恐らく父性を軽視しているのではないか、
そのことを、監督に伝えたかったのだと思われます。
わたし、男ですけど、全然気にならなかったんです。
だから、そんなに、感情的になる問題か?と違和感アリ。
ドキュメントじゃないんだから、いいじゃん
それに、ここに父親登場させたら、話の論点がぼやけちゃいますよ
「ドキュメントとして作ることもできた」監督談
それだけのリアリティ・希望・力強さが満ち溢れています。
2010年正月にシネマライズにて上映されるのが決定済み。
子供のためなら罪をも犯す
きっとあなたも、
母の強い愛に震撼させられます。