劇場公開日 2009年11月28日

「ストレートで真っ向勝負をしすぎ。変化球も織り交ぜようよ」少年は泣かない septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ストレートで真っ向勝負をしすぎ。変化球も織り交ぜようよ

2009年12月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

幸せ

今作、原作は
日本の北方謙三さんの著書『傷跡』。
原作では、敗戦後の日本が舞台になっていますが、
それを、朝鮮戦争後に移し替え、脚本を執筆したそうです。

原作は未読です。
楽しみに上映開始を待ちました。

☆彡     ☆彡

う~ん、良作なんだろうけど、
ここまで直球を投げられると、
俺みたいにメチャメチャ映画を
鑑賞している人にとっては厳しいなぁ・・・

上映終了直後、
うしろに座っていたおばさまは
「次、どうなるかハラハラしちゃって、怖かった」と
感想を口にしていましたが、これが恐らく大多数の人が
持つ感想に違いありません。「このあと、どうなっちゃうんだろ」要素満載でしたから。

ただ、どうなんでしょうね。
これ、映画に限らず、ドラマ、
マンガや本を読んでいる人なら
私同様、先が読めてしまうのではないかと思います。

ここまで、
「次、こうなるんだろうな?」と
予想通りに進み、且つ予想の枠を
超えない作品も、ある意味、珍しいかもしれません。

野球に例えると、
全部、直球勝負。
そして、ツーストライクノーボールで
3球ボール球が使えるのにも関らず、頑なに、
3球勝負。もちろん球種はストレート。野村監督なら激怒もんです。

『タッチ』の上杉達也じゃないんだから

そんな突っ込みも入れたくなってしまいました(苦笑)

◇   ◇

〈 なんでも最初がきつい 〉

敗戦後の闇市を舞台に
少年たちが必死に生き抜く姿を描く。

これが、本当に
ざっくりしていますが、
ストーリーのあらすじ。

「(あら、読みと違ったな)」
そう感じたのは、オープニング直後の
出来事だけでした。あとは、幸せになるタイミング、
これだけ続いたし、あの服装をさせたということは、
ここで彼女に不幸が起こって、それをキッカケに、
無謀な戦いを挑んで、負けかけた所で、救世主が
登場して、誰かが殺されて、みんなで、その人を
泣きながら、抱きかかえて、その人は、幸せそうな
表情を浮かべながら一言残して、ガックリと力尽きて、
抱きかかえたみんなが号泣し、映像は徐々に引き気味の
カットになり、明度もフェードアウトしながら暗転する。

一昔前の大映テレビのドラマ、
少し前の昼ドラのように、わかりやすかったです(苦笑)

啜り泣きが聞えてきたのは
ガックリと力尽きる場面でしたが、
わたしは、むしろそのあとのシーンに、
生きていく強さと希望が伝わってきて、グッと来るものがありました。

◇   ◇

闇市の風景は大掛かりなセットを用意。

主人公、イワンさんは鞭を使ったアクションに
悪戦苦闘。現場では、生傷が絶えなかったそうです。

頭のいい役を演じたソン・チャウイさんは、
どことなく雰囲気が瑛太さんに似ていましたが、
今作の演技で、映画祭の新人賞を受賞したそうです。

☆彡     ☆彡

分類をすると
泣かせにくる作品になるのでしょうが、
『最後の贈り物』という、大号泣した
化け物のような作品のあとだと、ちょっとキツイ。

昔、初めてスキーをしたときに、
初心者コースですら、おぼつかなかったのに、
上級者コースに強引に連れて行かれ(途中から1人リフトで下りた(苦笑))、
そのあと、さっきまでが嘘のように、初心者コースではスイスイ滑れるようになった、
そんな感じでしょうか(どんな感じなんだ、いったい(苦笑))。

B+にしますが、
かぎりなくA-に近い作品。
これを締めくくりの言葉とさせていただきます。

septaka