「犯人が誰だか解らないドキドキ感が堪りません!でも、もう少し、ネタバレ台詞は終盤に取っておくべきでした。」パーフェクト・ゲッタウェイ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
犯人が誰だか解らないドキドキ感が堪りません!でも、もう少し、ネタバレ台詞は終盤に取っておくべきでした。
ハワイでハネムーンを楽しむカップルが巻き込まれる殺人鬼の恐怖を描いたサスペンス作品。
舞台となるカウアイ島の映像美が、強めに彩度アップされた映像と共に強烈な印象を放っています。美しい自然の中で、甘いカプッルが愛を語り合っているのに、場違いな殺人鬼は忍び寄っていくのです。
最初は、ラブストーリーのようにスイートに開始し、徐々に殺人鬼の存在を臭わせて、恐怖感を募られる。ラストでは正体が明らかになった殺人鬼とターゲットにされたカップルの逃走劇でスリル感たっぷりの演出でした。
面白いのは、殺人鬼が誰かが解らないこと。そのため観客は、主人公のカップルに自分の気持ちを投影させて、近づいてくる人物が怪しい、このまま近くにいると何か起こりそうだという緊張感を常に持ち続くことになります。
そして警察まで騙してしまうこと。
犯人の片割れが、警察のヘリに搭乗し、逆襲しようとする被害者をあれが犯人だと偽証し、警察が射殺しようとするところもドキドキしました。被害者側の視線でカメラは追い続けていたため、絶対絶命の緊迫感に包まれたのです。
そして最後で明らかになる真犯人とその動機が明かされたとき、冒頭のシーンの意味がひっくり返ってしまうことです。その辺の構成の面白さや意外性は感じさせました。
惜しむらくは、中盤で語られるあるセリフで、だいたい犯人が誰なのか見え見えになってしまったことです。もう少し、ネタバレ台詞は終盤に取っておくべきでした。
場の展開として大きいのは、WEBニュースをクリフが見るとき。このとき本人も観客もホノルルで男女二人組のカップルによる殺人事件の詳細を詳しく知ります。
ただ巧みなのは、犯人の映像をぼかしたりして観客に悟られないように編集していることです。
このニュースで、観客も犯人達はカウアイ島に潜伏していることを知ります。
そういう目で見ていると、クリフたちのすぐそばで野宿しているニック&ジーナ、ケイル&クレオという二組のカップルがどうも挙動不審に思えてならなくなります。また疑われても仕方ない言動をしていました。
だからクリフは、緊張と被害妄想から、先手を打って彼らを襲撃しようとすらしたのです。
けれども警察が来て、犯人と思われるカップルが逮捕されて、ほっとしたクリフとシドニーは、疑ってきたことをケイル&クレオのカップルに詫びて、目標のビーチを目指します。でも本当の恐怖は、ここからだったんですね。
主演のミラ・ジョヴォヴィッチが見せる幸せな花嫁の表情の下に忍ばせた不安定な性格。女同士でいるときクレオにふと告白する、病的なまでに孤独に恐怖する性格。
その複雑な感情の動きをを的確に表現しています。ぴったりのキャストでした。