「アメリアという人物を追いかけつつ娯楽作としても完成度が高い」アメリア 永遠の翼 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
アメリアという人物を追いかけつつ娯楽作としても完成度が高い
実在した人物の物語としては、ドラマの組み立てがよく、実話にロマンスとサスペンスが程よく加味され、娯楽作としても充分に見応えがある。
飛行機好きとしては、単独大西洋横断に成功した丸くて赤いロッキード・ベガや、赤道上世界一周飛行に向かった銀色に輝くロッキード・エレクトラといった機体に目がいく。
飛行機そのものが珍しかった時代に、女性が飛ばして冒険旅行するというのは、相当にセンセーショナルなことだったに違いない。
冒険に掛かる莫大な資金を、アメリアは自身の魅力と夫となるジョージとの二人三脚で調達していく。そのあたりは多くを語らないものの、相当ハードであったと推察できる描写で、過度な資金集めに対する誹謗中傷があったことも垣間見える。
自由を愛し、求めるアメリアの奔放な生き方も魅力の一つだが、夫のジョージと愛人ジーン・ヴィダルとの関係も深入りせず上手く捌いている。
Blu-rayの特典映像を見ると、結構、未公開の空撮が多く、機影の美しいシーンが惜しげもなくカットされていることがわかる。
あくまでも主役は人物。そう割り切ったスタンスがそうさせたのであろう。
インド出身の女性監督ミーラー・ナーイルによる演出は、女性飛行家アメリア、そして人間アメリアから片時も目を逸らさない。フィルムを切れる監督は好きだ。
最後となってしまった世界一周旅行。今にしてみれば、ナビゲーターより無線技士を同乗させておけばよかったと悔やまれる。
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