「国民的女性飛行士。」アメリア 永遠の翼 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
国民的女性飛行士。
1920年代に女性として世界で初めて大西洋を横断した実在の飛行士、
アメリア・イヤハートの壮年期~の活躍を描いた作品。
歴史アクションコメディなどで最近、彼女役をチラホラと見かけたので
あ~こういう人だったのかと知ったくらいで、あまり日本人には馴染みが
少ないんじゃないかと思う人のひとりである。リンドバーグ以来の快挙を
成し遂げた彼女は、1938年世界一周飛行中に太平洋上で行方不明に。
いや、それにしても、当時の女性としてはアッパレな生き方をした人だ。
女性が飛行士になりたい→なれる。確率が当時一体どの位あったのか、
彼女にとってはまるで宣伝タレント?のようにしか扱われていなかった
そのチャンスを、のちに見事モノにすることができたのは、もちろん才能と、
そして、パートナーであるジョージ・パットナムの絶大な支援のおかげだ。
あまり起伏がなく淡々と彼女の功績が描かれるこの作品の大きな核は、
主演のH・スワンクのウリ二つか?と思われる台詞や態度の憑依演技と、
彼女がいかに(資金面、精神面で)強運の持ち主だったかに集約される。
決して美人というタイプではない彼女が(まったくもってすいません^^;)
とても笑顔がチャーミングな女性(これは本当)として私達の印象に残り、
その後の女性活動家たちに大きな影響を与えたことが分かる。
あらゆる面で恵まれるのは運もあろうが、彼女の人間性、あくなき夢に
魅せられた多くの一般人の心を鷲掴みにする彼女の魅力あってこそだ。
しかし本作はそんな「陽」の部分を見せるに留まらず、
彼女の不倫問題なども取り上げている。ジョージの熱烈なアプローチで
結婚にこぎつけた彼女も、(女としては^^;)やはり好き好きもあったろうし、
いくら空が好きでも、地上ではごく普通の恋をしたかったのだろうなぁ…。
どちらかというと恋愛よりビジネスとしての関係の方が強かった二人には、
お互いの為に結婚したような雰囲気があって、結婚式でのアメリアの台詞
「誓います」ではなく「そのつもりです」には、やや決意めいたものも感じる。
いつ自分が死するか分からない状況で永遠の関係を誓い合うというのは
アメリアには躊躇する部分もあったのだろう。とはいえ、彼女も普通の女性、、
決してジョージが非魅力的ではないが、パイロット仲間のジーン(ユアン)に
共通性を見出してしまったのだろうか…まぁともあれ^^;元に戻るんだけど。
そんな紆余曲折を経て、いよいよ世界一周のチャンスが巡ってくる。
このフライトを最後に、ジョージと普通の生活を営む約束をするアメリア。
しかし運命は。。。
彼女が行方不明となったことでさらに人気が上がり、
アメリアは未だに本国では10本の指に入る、人気飛行士なのだそうだ。
ラストに御本人の映像や写真が幾つか映されるのだが、これをもってして
さらに、ヒラリーがいかに彼女に似(せ)ていたかを痛感できる。ソックリ!
最後まで飛行士であり続けた女性の壮大なファンタジー物語のようだった。
(台詞や身のこなしが当時の女性は素敵だった。制約の多い時代だろうな)