「お下劣」十三人の刺客 kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
お下劣
主君に仕え、守り通すことが侍というのが明石藩の鬼頭半兵衛(市村正親)。民のため、後に感謝されるとするのが島田新左衛門(役所)。この二人の巧妙な頭脳戦・・・参勤交代の道中、どこで合戦にするのか・・・そして最後は剣の技での一騎打ち。さらに斉韶(稲垣吾郎)が不気味に絡んでくる。日アカでは役所広司のみがノミネートされてるけど、稲垣吾郎が抜け落ちてるのがおかしいくらいだ。
黒澤明の『七人の侍』は名作だけども、この作品はかなり近づいていると思う。13人のうち生き残るのは二人。しかも侍が生き残れば結局は自害しなければならないんだし、山の民(伊勢谷)と侍をやめたがっている新左衛門の甥・新六郎(山田)を残すことに意味があるのだ。そして、斉韶に言わせる言葉が為政者たるものの本質を言い表しているので、現代における時代劇として十分通用するのだ。残忍で憎たらしいことこの上ない斉韶。「政とは政を行う者のためにある」というのが痛烈だ。
それにしても残酷シーンだらけ。やられちゃった谷村美月ちゃんと夫の牧野采女(斎藤工)も痛々しいが、手足を斬られ慰み者とされた名もなき娘が『キャタピラー』並みに痛々しい。クライマックスの合戦のシーンは40分くらいとかなり長く、東京ドーム20個分のセットを作ったことも素晴らしい。壮絶な戦いは、爆薬によって200人に膨れ上がった明石軍を130人くらいに減らしたけど、もっと爆弾使えよ!と言いたくなるくらい手に汗握る迫力のシーンの連続なのだ。
お下劣シーンも三池監督らしく、家族と一緒に見れないくらい(笑)。特に、村の娘を何人もやっちゃった伊勢谷が岸辺一徳のアナルに・・・なんて。
この作品は1963年の工藤栄一監督のリメイクです。基本的に同じストーリーですが最後は意外とあっさり斎韶は殺られちゃって、十三人の生き残りももっといたはず。伊勢谷友介の役も無かったはず。(あまり覚えてませんがm(_ _)m)
稲垣吾郎は助演男優賞ですよねえ。断ると思いますが(笑)