劇場公開日 2010年2月11日

  • 予告編を見る

「物語も演技もこの程度ですか」交渉人 THE MOVIE タイムリミット 高度10000mの頭脳戦 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0物語も演技もこの程度ですか

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

単純

総合:40点
ストーリー: 35
キャスト: 65
演出: 35
ビジュアル: 65
音楽: 65

 他の人もレビューで書いていたが、設定や物語にたくさんおかしな部分があり見ていて不自然すぎてつまらない。かなり子供騙しに見える。

 そもそも題が交渉人なのに、映画の中で交渉があまりない。しかも陣内孝則演じる交渉チームのチーフは、ハイジャックの犯人が名乗らないからといって「くそ野郎」みたいな名前を勝手につけて相手を呼ぶ。普通訓練を受けた交渉人は人質をとっている犯人を刺激しないのが原則なのでそんなことを言わないだろうし、映画の題と異なり交渉人という職業のことについてまともに調査をしているとも思えない。この程度のことは20世紀末に公開されたハリウッド映画の「交渉人」にも出てくるのに、それから10年以上たった21世紀に公開される邦画はまだこのようなことをしているのは本当に情けなくて悲しくすらなる。
 もしかするとテロリスト相手に正義感や怒りの感情をそのままぶつけていれば、映画的にかっこいいし視聴者の共感をよぶとでも考えたのかもしれない。だがこれは逆上した犯人を過激な行動に走らせるかもしれない危険行為である。交渉人の仕事は自分の怒りの感情を相手に示すことではなく、事件を有利に導く交渉を行うことである。人質をとった犯人相手にそのような仕事をする交渉人という仕事の、生命をかけた緊迫感を考えればかなりお粗末である。

 それに犯人が刑務所から人を釈放する交渉をするために、わざわざ高い危険を冒して新入りの信頼のおけないズブの素人の兄弟二人と一緒にセキュリティの厳しい飛行機をハイジャックなどする必要があるのか。バスとか学校とか、もっと手近で確実に成功できるところで人質などいくらでもとれるだろうに。それに近年はテロには屈しないというのが世界の潮流であり、人質とったからといって自分の要求どおりに仲間が釈放され物事が進んでいくと考えるなんて今時単純すぎる。
 しかも気密の必要な飛行中の飛行機の中で銃を平気で撃ちまくる。他にも飛行機のことについても何も調べていないのだろうと思われることがいくつも出てくる。

 役者たちの科白まわしも上記のチーフのように仰々しいというかわざとらしくかっこをつけた部分が多く、こちらのほうも見ていて不自然。このような古い演技や演出が、金をかけてテレビ局でも大きく宣伝している新しい映画で普通に使われてしまっているのが残念でならない。

コメントする
Cape God