孤高のメスのレビュー・感想・評価
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医療に関して考えされられる作品
堤真一をはじめとしたキャストの演技も素晴らしいが、
作品自体が、現代の医療に関する問題点を考えさせられる名作だと思う。
医師であるかにかかわらず、どんな仕事であっても、
常に自分の信念をしっかり持つ事が大事であると感じた作品だった。
またこのような作品に出会いたいものだ。
医者、もしくは目指す人はこの作品を観るべし!
孤高のメス
みいってしまった…
堤真一は舞台の方がいい
留学帰りで田舎の市立病院に赴任した医師。
彼は患者のことしか頭にない。
彼を呼んだ市長は彼に惚れこみ、自分の娘と見合いをさせる。
しかし、市長から「これは見合いだ」と言われても、
「どなたとどなたの見合いですか」と言う彼。
医療以外目に入らない。そんな医者いるのかな。
彼はオペ中に演歌をかける。「手術は忍耐強く、
コツコツやらなければならないから、演歌があっている」と言う。
「それに都はるみは日本の宝だ」と。
看護婦に「オペに集中できないからやめてくれ」と言われ、
多数決の結果、オペ中の演歌は禁止となる。
脳死肝移植のとき、演歌禁止を提案した看護婦から
「思う存分どうぞ」と言われ、医師の選んだ曲は都はるみの
あんこ椿は恋の花。
みんなには曲が聞こえていたのだろうか。
おそらくオペに集中して聞こえていなかっただろう。
その歌は音波として体を包みこんでいればよかったのだ。
オペシーンをみるとやっぱり病気はしたくないと思う。
素晴らしい拾い物。
拾い物でした
地方都市の市民病院での現実を衝いた映画でした。
町医者と大学病院との狭間にあって地域医療の現状を巧く現しています。
堤 真一が相変わらず好調です。
でも、手術のときに何故に演歌なのでしょうか。
こぶしがまわったら力が入らないでしょうかね。
回りの人々も理解有る人が多くて安心して観ることが出来ました。
ナースの成長が巧く表現してあります。
人の成長も付き合う人によって、度合いが違うことが良くわかります。
子供は親の鏡と言いわれますが、確かに思える。
人間は近くにいる人に多大な影響を受ける。
一人の大事な子供を亡くす母親役に余貴美子が熱演です。
この人は、何をやらせても巧いですね。
カタツムリの時も良かったですよ。
ラストも最初の伏線から考えさせて、本人の顔を出さずに好い幕切れの印象を受けまた。
本日の試写会は関係者席が多かったですね。
医療関係の人が多く招待されていた感じです。
感動しました
医療制度の現場を描いたベストセラー小説の映画化。看護士をしていた母(夏川結衣)が亡くなり、遺品の日記を息子が読んでいく形で、物語が進行する。
冒頭からとてもリアルな肝臓手術のシーン。順天堂医大肝膵外科が医療監修をしているので、納得。医療現場を描いた映画としては、海堂尊原作の「チームバチスタの栄光」「ジェネラル・ルージュの凱旋」があるが、この映画はまったくタイプが違う。あくまでも真摯に、忠実に描写しているような感じがした。
命を救ってほしいと願う患者の家族、目の前にいる患者の命を救いたいという医師、医師の思いを叶えようとするスタッフ、なくなりかけている息子の命のともしびを誰かにつなぎたいと願う母の思い。それらが交差する大手術は、感動的だった。医療の問題も考えさせられるが、何より感動で胸がいっぱいになった。ラストもいい感じ。
すごくイイ映画なんだけど
拙ブログより抜粋で。
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演出的にはリアルに再現された手術シーンが目を見張る。変に隠すことなく、開口部をはっきりと見せる勇気ある姿勢にも驚かされるが、と同時に、神秘的にすら感じる医療行為の“美しさ”にまで迫った演出は、この手の医療モノの作品ではあまり感じたことのない感動で、白眉だった。
脚本もよく練られており、往年の西部劇を彷彿とさせるエンターテイメントの王道をゆくさすらい医師、必要充分な描写の中でキャラ立ちした登場人物たち、わかりやすく提示される様々な医療問題、ときにユーモアも交えた的確な伏線とその回収、と、どこから斬っても手堅い良作に仕上がっていると言えよう。
ただ、好みによるのだろうが、ちょっとケレン味が足りない気がしないでもない。
とにかく堤真一演じる当麻のキャラクターができすぎな感じで、憧れるほど立派なヒーローではあるが人物造形的に完璧な人すぎて人間臭さには欠く。
そういう意味では敵役となる権威主義者のダメ医師・野本(生瀬勝久)の方が、ひどい奴だが人間味はあると感じてしまうくらい。
しかしこの野本にしてもあまりに絵に描いたような悪役で、人の命を預かるという微妙な問題を扱った本作では、こういう勧善懲悪的な対立構造は安易すぎないか。
さらにこの対立構造も、野本が影でコソコソ悪口を言っているだけという印象しかなく、直接対決するわけではない。これも映画的に難しくなりそうなことは避けたという安易さを感じてしまう。
良くできた脚本だが、巧いがゆえに難しいことからは上手に目を反らしたという気がするのよ。
逆に言えば、難しい医療問題をわかりやすいエンターテイメント作品として仕上げたという点で評価できるのだが。
伝染する気高さ。
『告白』のあまりのインパクトにすっかり影が薄くなってしまった感がある本作だが(?)、この映画も素晴らしい出来だと思う。
驚かさせれたのは映画序盤での手術室内の描写。『手術』と聞くと、白塗りぴかぴかの手術室で冷静沈着な医師逹が淡々と作業をこなしている……そんなイメージが浮かぶ(あくまで僕のイメージ)。
だがここではまるきり違う。清潔に見えない手術室、医療器具をぞんざいに扱う看護士、手術ミスを犯しておきながら、それを棚に上げて部下に怒鳴り散らす手術医。
挙げ句の果ては医者が『処置の難しい患者はどうせ大学病院に送るから、手術もテキトーでいいのさ』みたいな事まで言い放つ始末だ。
これって実際より誇張して描いてるんだろうか。それとも……。
本当にこんな病院もあるかもしれないと思うと背筋が寒くなる。
だが主人公・当麻が満を持して登場すると雰囲気が一変。
彼の最初の手術シーンが圧巻だ。卓越した技術と医師としての気高い信念がビシバシ伝わり、背筋がぞくぞくするほどカッコイイ。
そして夏川結衣が手術中呟く「すみません」という言葉。この言葉に何故だか涙が出そうになった。いやまさか、眉をしかめるような手術シーンで涙ぐんでしまうとは。
この手術を皮切りに、彼の気高さが病院のスタッフにまで“伝染”してゆく姿は感動的だ。
映画の最大の立役者は堤真一だろう。医師としては完璧だが朴念仁な当麻先生を魅力たっぷりに演じ、手術シーンでの手捌きも見事。脇を固めるキャストも皆良い。
仕事への誇りを取り戻すに連れてどんどん輝きが増してゆく夏川結衣。
地位と名声を手に入れる事しか頭に無い最低野郎を憎々しげに演じる生瀬勝久。そして余貴美子。彼女が“先生”と呼ばれる理由が判明するシーンを観て、彼女の下した決断にも合点がいった気がする。
映画のスタイルは、時系列を入れ替えたり細かいカットを繋いだりなどの小細工は用いず、じっくりとキャラクターを描き、まっすぐに物語を紡ぐスタイル。
丁寧で実直。この映画の主人公のようだ。
手術という生死に関わるテーマを取り上げながら重苦しさは無く、それどころか思わず笑ってしまうようなユーモラスな場面も多い。物語の中弛みも感じさせず、2時間長の上映時間はあっという間だ。
『告白』の毒に当てられて人間不信になった人は、こっちでリハビリしてください(笑)。
人間の良心を描いた優しい映画。オススメです。
<2010/6/12鑑賞>
信念によって
「命」に関わる作品です。
当然ですが3Dでもなく派手な演出も全くありません。
渋い作品です。
停滞しきった地方病院にやってきた一人の医師。
彼が来たことによっていろいろな事が変わっていく。
彼は何事にも諦めない医師だったのです。
「信念が命を救う」
この信念がのちのち病院を、人々を動かしていきます。
一人の力によってここまで大きく変化していくと誰が想像出来たでしょうか?
この作品のの一番の輝きは堤真一&夏川結衣さんの演技力ではないでしょうか。
特に堤真一さんの目力は非常に魅力的です。
この他の出演者の演技力を思う存分感じてください。
そして、もうひとつは・・・・・
順天堂大学医学部の医療監修のもと手術シーンを追求しているのです。
これにより臓器までしっかりと映し出しリアルな手術シーンを見ることが出来ます。
そのあたりもしっかりご覧下さい。
このような渋い作品をぜひぜひ見ていただきたい。
期待し過ぎちゃったかも。(私の場合)
6/11 観賞
観客層は平日の昼ということもあるだろうが、年齢層がとっても高かった。
医療モノを観る度に思うこと。
生瀬勝久演じるような医者・・・。
こんな事されても、患者は全く分からないよなぁ・・・。
実際、ここまで酷くなくても自分のことしか考えていない医者っているだろうし。
買い物するみたいに、毎日何種類もの病院に罹る訳じゃないし、
色んな医者を経験(?)する訳じゃないですもんね。
相性とかもあるだろうし。
堤真一演じる医師、当麻。
患者が求める理想のドクター、間違いなくNO.1!!
初めは高い理想があっても、過酷な医療現場に疲れてだんだん感情が麻痺してきたり、など、
なかなか患者さんの為にっていう様な気持ちを持続させるのは
難しいんでしょうね。
こんな先生いるのかな?って思ってしまいました。
人間的にも飾り気がなく、朴訥・・・。
うまく演じていましたね。
またまた上から目線ですいません。
余貴美子も良かったです。
臓器の映像が、リアルでしたよね。
どうやって、撮ってんだろ。
とにかく最後の方、悪者退治スッキリしました。
やっぱり、こうじゃなくちゃね♪
ラストも余韻があって、よかったですね。
直球一本勝負のいい映画
ひとつのことに打ち込み、実直な人柄を演じさせて巧い中堅男優で思い浮かぶのは、渡辺謙、柳葉敏郎、堺雅人、そして本作の堤真一だ。そんな役の中でも、肩肘張らずに笑いをとれるのは、この堤真一だろう。ツッコミに照れる柳葉敏郎や、はにかむ堺雅人とは違うトボけた可笑しさで、見ていて堅苦しくない。
そして、浪子の日記を紐解く形で描かれる語り口は、いっそう当麻の気負いのない人柄を浮き彫りにした。
どんな仕事でも大切なのは心技体。相手に対して、誠意をもって接し、できる限りの技量を施し、己の小さなプライドなど捨ててあたる。評価はあとからついてくるものだ。この作品の主人公、当麻はまさにこういう人物だ。
医師も神ではない。間違いも犯すだろう。実践の積み重ねがなかったら技術も上がらない。ただ、ほかの職業と違うのは、そこに人の命が掛かっていることだ。巧くいけば神のごとく奉られるが、一歩間違えば殺人者だ。患者側からみれば、どんな医師にあたるかは運次第ということになる。
それでも大事なのは、誠意ある対応ではなかろうか。実験台のような扱いはご免だが、当麻のような医師にだったら内蔵を提供してもいい、そんな気になる直球一本勝負のいい映画だった。
良作日本映画
世の医者に見てほしい
堤真一の魂の演技に加えて医療問題にさりげなく迫る演出が良かったです。
医療制度のタブーに深く切り込んだ社会派原作なのに、本作はどこか暖かみのする仕上がりになっています。
それはいきなり核心に切り込むのでなく、当麻をアシストする看護師中村浪子が残した日記が語る視点から、浪子が見聞した当麻との出会い、そして外科手術の取り組みが、淡々と綴られるからです。
けれども患者の立場に立った地域医療に情熱を傾ける当麻の一挙手一投足は、感銘と共に観客の心に現代の医療の問題を投げかけてくるのでした。
成島監督は、『クライマーズ・ハイ』の脚本を担当しているだけに、主演の堤真一の見せ場のツボを心得ているかのような演出。
抑え気味のテンションの中に、一人でも多くの患者を救いたいという秘めたる闘志をたぎらせた当麻役を、堤は水を得た魚の如く演じきっています。きっと年末の賞取りレースにノミネートされる演技でしょう。
それにしても哀しいストーリーです。冒頭から、主人公の浪子の葬式シーンでスタートするのです。葬式に立ち会った浪子の息子の弘平は、母が残した日記から、当麻の存在を知ります。物語は、ここで大きく別れて、日記のなかの浪子が語る1989年当時に当麻を中心にどんな出来事が起こったのか。
そしてもう一つは、その日記を読み上げた弘平にどんな変化が起きたのか。年代を超えた親子二代の話が同時進行している構造なのです。
当麻が登場する以前の日記の浪子は、悲惨でした。杜撰な手術と医療事故のもみ消しの日々。そこに立ち会う自分も、患者の命を奪っている共犯者ではないかと汲々としていました。それを誰にも言えなくて、日記だけが愚痴のはけ口という有様だったのです。
そんなとき、高度な医療技術を持った当麻が転院してきて、当麻の医療に対する純粋な思いに感銘して、失いかけた看護師としての自覚を取り戻すのですね。
ちょっと近寄りがたい雰囲気の当麻でしたが、初めての手術で、現場のスタッフも観客も大笑いしました。だって手術中に都はるみの演歌を流すのです。緊張した現場にはどう見てもミスマッチです。困惑するスタッフを尻目に当麻は、至って真剣。当麻に言わせば、手術は手編みのセーターを編むように、細かな作業を忍耐強く綴ることなんだ。だから演歌がよく合うというのです。でもそれはあんまりだということで、スタッフの多数決で音楽禁止になったときの当麻のしょぼんとした表情が愛嬌たっぷりでした。まるでおもちゃを取り上げられた子供のよう。
浪子が当麻という医師に希望を見いだした頃、親交の篤いお隣の音楽教師をしている武井先生の一人息子が事故に遭い、脳死状態になってから、物語は急展開します。
同じ頃、勤務先の市民病院を支えてきた大川市長が倒れたのです。
武井先生は悩んだ末、福祉活動に尽力してきた息子の志を汲んで臓器提供を決断します。複雑な母親としての苦悩を、余貴美子が見事に演じています。これも素晴らしいです。 当麻は、生体肝移植の数少ないスペシャリストでした。大川市長は当麻の志に惚れ込み、日本初の脳死肝移植手術のレシピエントになることを決意します。
ただ当時は脳死認定が法制化前だったこともあり、当麻が殺人罪で起訴される可能性も高かったのです。そのため手術は極秘で進められるはずだったものの、当麻を潰そうと思っていた第一外科の野本医長のリークによって、マスコミが詰めかける事態となってしまいます。果たして当麻はどうなるのかは、見てのお楽しみに。但し小地蔵は、どんなことであろうと臓器移植に賛成しかねます。
そうまでして、患者を救おうとする当麻の医師になった経緯や当麻と浪子との別れのシーンも、感動を呼ぶことでしょう。
当麻と浪子の最後の日に撮影された一枚の集合写真。それを見つめていた息子の弘平は決意します。そして向かった先は、当麻の生き様を真似るかのように、田舎の病院へ赴任していったのでした。
院長に挨拶するために、院長室でしばし往診に出かけた院長の帰り待つ弘平。そこにはどこかで見たことのある都はるみのカセットテープが置かれてあり、母の日記にあったのと同じ集合写真が壁に飾られていたのでした。
【注意事項】血を見るのが苦手な人へ
本作の手術シーンは、ほぼ医療現場での手順がリアルに再現されます。血しぶきが飛んだり、臓器がそのまま露出するので、その手のものに苦手な人はショックを受けるかもしれないので、あらかじめ覚悟して見てください。
胸が苦しくなる程、悩み考えながら観ていました
平成元年当時がリアルに描かれていて、すぐに入り込めました。患者どちらの立場も痛いほど理解できるので、ツライ気持ちで観ていました。
『僕の初恋を君に捧ぐ』でも同じような思いがありました。
オペの術野が超リアル。素晴らしい技術ですね。
僻地医療、先進医療、大学病院の医局、働く母と子供、行政、たくさんの問題を見事に2時間の映像で描いてくれたと感心しました。
クライマーズハイに続き、堤真一はさすがです。
余貴美子ヤバイです!助演女優賞三連覇も夢じゃないですよ。
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