「出会いと別れ」チップス先生さようなら(1939) ROKUxさんの映画レビュー(感想・評価)
出会いと別れ
チップス先生が着任してから引退、死去するまでの、いわば一代記である。人生の旅路で、彼が出会い、そして別れた人たちと紡いだ物語である。
とりわけ、中年を迎えてから出会った伴侶キャサリン。たった一人でも理解し応援してくれる人がいれば、それが愛する人であればなおさら、人は世界とだって戦える。
だけど、どんなに愛し合っていても、いずれは別れがやってくる。時にはとても残酷な形で。
でも彼は、亡き妻が用意してくれた習慣(お茶の会)を続け、多くの生徒に慕われる存在となった。
学校を訪れた軍人が生徒を見て「彼らは明日の将校となろう」と言った時、先生は「では明日が来ないことを祈ろう」と呟く。祈ったり呟いたりすることしか出来なくても、時代に流されてはいけない。
全寮制のパブリックスクールというのは、どこでもあんな造りなのだろうか。ブルックフィールド・スクールの大講堂は、ハリー・ポッターシリーズのホグワーツの大講堂とよく似ている。
退職を勧められた時、彼は校長の方針に対して「生徒は機械ではない」と反論する。90年前から教育問題は同じところを堂々巡りしているのかも知れない。
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