劇場公開日 2009年12月19日

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「【第二次世界大戦下のデンマークで、ナチスへのレジスタンス活動をした二人の男の苛烈なる日々を描いた作品。全編に亙る尋常でない緊迫感と、悲哀が重く残る作品である。】」誰がため NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【第二次世界大戦下のデンマークで、ナチスへのレジスタンス活動をした二人の男の苛烈なる日々を描いた作品。全編に亙る尋常でない緊迫感と、悲哀が重く残る作品である。】

2024年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー ナチスへのレジスタンス活動の映画化と言えば、チェコと英国のレジスタンスたちが、ナチス高官、ラインハルト・ハイドリヒを殺害した”エンスラポイド作戦”を描いた「ハイドリヒを撃て!」が記憶にあるが、この作品も彼の作品に劣らずに苛烈であり、鑑賞後の重い余韻が残る作品である。-

■第二次世界大戦末期、打倒ナチスを掲げるレジスタンス組織“ホルガ・ダンスケ”のメンバーであるフラメン(トゥーレ・リントハート)とシトロン(マッツ・ミケルセン)は、ゲシュタポとナチスドイツに寝返った売国奴の暗殺任務に就いていた。
 だが、徐々に誰が味方で、誰が裏切り者か分からなくなって行き、所属する組織そのものえの違和感を抱いていくのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・実話ベースの作品である。
 故に、ハッピーな流れとは程遠く、尋常でない緊迫感の中、徐々に疑心暗鬼になって行くフラメンを演じるトゥーレ・リントハートとシトロンを演じるマッツ・ミケルセンには、全く笑顔がない。

・フラメンは想いを寄せ合っていた筈のケティ(スティーネ・スティーンゲーゼ)が、二重スパイではないかとの疑念を抱いて行き、シトロンも活動に注力するあまり妻と不和になり、別れてしまう。

・二人に指示を出していた腹黒い男、ヴィンター(ピーター・ミュウギン)の真実の姿が明らかになった時に、二人は自分達が行って来た数々の殺害事件の是非を考えつつも、既に止められない所まで来てしまったという表情が切なすぎる。

・最終盤、フラメンが二人が狙っていたゲシュタポの高官、ホフマンも利用するホテルを営む父に3年振りに会いに行った時に言われた言葉。”優秀だったお前が、殺人犯になるとはな・・。”という言葉を掛けられるシーンは観ていて、キツイ。

<ナチスに占領されたデンマークに自由を齎すために活動をしていたフラメンとシトロン。だが、彼らの最期は余りに悲惨である。
 エンドロールのテロップで流れる、二人の名誉が回復されたという言葉が、僅かに救いとなる重き作品である。
 今作は、劇中の台詞”戦争は、大いなる混乱を齎すもの。”が重く響く強烈な反戦映画である。>

NOBU