「出会いで変わるということ。」天使の恋 Takehiroさんの映画レビュー(感想・評価)
出会いで変わるということ。
いじめられていた女生徒を助けて仲間に入れて、援助交際まで仲間に誘ってしまうというオープニングから、敵なのか味方なのかわからないが、援助交際をした男とのラブホテルから出て来る様子を写真に収めて、仲間の男に脅迫させて金をむしりとるという仲間であったという、怖い話なのだが、その積み重ねで大金を得て、高価な装飾品をその子にプレゼントしたり、悪い仲間意識というのか、4人組となったその中では仲が良いらしかった。佐々木希の映画初主演だったらしいが、バイセクシャルのレズビアン同士のシーンがあったり、主人公の精神は崩壊しまくっているのだが、そうした背景の後で、谷原章介の演じる男が出て来る。写真屋の手違いから出会う事になる。援助交際で男を翻弄している女子高生が恋をしてしまうというのはどういう事なのか。こうした話の作りての良心には、不良ぶってしまう人の過去にトラウマがあるという所なのだが、実際には、なにがトラウマかわからないのに、援助交際などしている人達がいるのだが、それは個人的なトラウマではなくて、社会そのもののトラウマが影響しているのかも知れない。男は大学で日本史を授業する人物で、女は授業に忍び込み、日本史を教えて欲しいと頼んで交際を企んだ。ここら辺から一転して、恋する女子高生のようになってしまう。年齢差17歳くらいだろうか、心の中で男は、なぜこんな子と一緒にラーメンを食べているのかとつぶやく。日本史を語るときは情熱的だが、それ以外はクールでニヒルな人物である。それを女子高生は先生が明るくなるように付き合うよと積極的にアプローチする。男は女生徒の明るさに微笑むが、なにか陰がある。どんな秘密なのだろうか。女生徒のほうはただただ天真爛漫なだけだった。援助交際グループを始めたのが主人公だったのに、先生に悪いから援助交際はできなくなったと、仲間たちに言って援助交際を停止する。レズビアンの女からは怒られる。援助交際騙しの仲間の男からは、最後なら一発やらせてくれと情けない頼みを受けて、実際どうだったかは映像にないが、性に奔放な集団のやり取りが簡単に紹介される。女生徒は先生から日本史を個人教授され、風呂の中でも暗記カードを読んで勉強していたが、先生にデートのご褒美をもらうためだった。それも女生徒が勝手に決めていた。100点をとったらの条件だったが、99点で落ち込む。先生に答案をみせる。そうすると歴史の解釈によって、先生が100点に訂正する。そしてデートをすることになった。女生徒が先生の行きたい所に行こうというと、先生は歴史上人物の墓に行って喜んでいる。場所も大都会から緑多い田舎になる。先生は歴史的な場所だと異常に元気になって女生徒が追い付けない。女生徒の積極性が叶い、二人は恋人になったようだった。しかし男の影の部分が押し寄せて来る。男には死期が迫っていたのだった。男は主人公を突き放す。主人公とレズビアン関係だった女は取り返しのつかない犯罪をしてしまう。その女生徒も家庭に問題があった。そして主人公の目前で飛び降り自殺をしてしまう。
洒落にもならない話になってしまった。さらに新たに仲間に入った子への衝撃的告白。女生徒は先生がいなくなってしまった心労で倒れる。日本の現代映画は、社会が貞操を教えない中で、一人を愛してしまった場合についての混乱を努力が皮肉として出て来てしまう。その葛藤をドラマ化してみせているケースが多いようである。友人の手助けもあり、先生と再会して、主人公は3年前の出来事がきっかけで悪いことをしてきたと自身の経緯を話す。主人公は3年前にレイプされて妊娠中絶をせざるを得なくなり、その反動から人を騙し、援助交際をし、他人を利用してきたと。先生は、今の主人公はそれを乗り越えたと話す。それを話し終えると二人は別れる。バスに乗った女生徒が振り向くと、先生が倒れている。女生徒はバスを止めて、救急車を呼んで先生は運ばれる。
女生徒は医師から先生の命が長くないことを知らされる。病室で先生は女生徒に初めて会った時から恋していたかも知れないが、死期が迫った人間が交際などしてはいけないと抑えていたことを話す。どうしてそんなにまっすぐに生きられるのかと女生徒に問うと、女生徒は先生に出会えたからだと答える。男は女を忘れたり、体が効かなくなったり、今より頑固になったりすると嫌だから手術は受けないというが、女はそれでも大丈夫だからと意志を通す。男はもし自分が死んでもまっすぐに生きてくれと頼む。先生は手術室に向かった。それから1年が経過する。雨の中のラストシーン。一人を愛する事に永遠を用意していた。