「あまりにも残念な、失敗エンタメ作品」シュアリー・サムデイ わたぼうさんの映画レビュー(感想・評価)
あまりにも残念な、失敗エンタメ作品
人気イケメン俳優、小栗旬の初監督作品はその謳い文句とは裏腹に、至極真面目な映画に仕上がっている。
バカっぽさは驚くほど少なく、全体的に「こいつらダメダメじゃないか?」と思ってしまうほどに救いようがなかったりする。
ヤクザが出たり、バンドをしてみたり、世捨て人なアニキ的な存在が出てきたり、オタクっぽさを出してみたり。とにかく詰め込みすぎで何がしたいのかさっぱりな出来。
走る描写が多いのにスピード感に欠けるのは、あまりに回想描写を挟みすぎている構成にも問題がある。これではせっかくの若さ故の無茶っぷりが台無しだ。
どうせならもっと下ネタを入れるなり、もっともっとバカバカしさを出すなりすれば面白くなったかもしれないが、根が真面目なのかエンタメ性に欠け、序盤以降笑いは皆無。
それに、122分の上映時間は長すぎて眠気を誘う。90分くらいに纏めてくれればまだマシだった。
さらに、ライブシーンは失笑もの。なんであんなに観客を用意してしまったのか。
結局、複数のイケメン俳優を主役に持ってきて、周りを若手人気女優、ベテラン俳優、お笑い芸人で固めての高級食材をごった煮したような作品になってしまった。
どれほど豪華なメンツか、エンドロールは必見である。
個人的には、小西真奈美が今ひとつ。好きな女優さんなのだが、妙に高いというかハスキーな声の演技がどうにもいただけない。
ただ、いくつかの上手い演出や表現があったりと、見切りをつけるには早い気もする。
もう2、3本映画を撮ってみれば小栗旬という監督の真髄も見えてくるかもしれない。監督として良いか悪いかはそれまで判断を保留してもいいかも。
音楽に菅野よう子さんを起用したのは良かったが、エンディング曲以外でらしさに欠け、残念な気もする。
結論として、エンタメとしては失敗だった。