劇場公開日 2010年7月17日

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「ガムシャラでいいのだ!」シュアリー・サムデイ 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ガムシャラでいいのだ!

2010年7月23日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

某番組で話していたが、監督はガイ・リッチーの『ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルス』(名前長ぇけど傑作)が大好きで、今回もそれを意識して撮ったそうな。
確かにオープニングのハイスピード撮影や選曲の感じ、複数の物語が絡み合う展開(しかもヤクザ絡み)とかは明らかに意識しているなという感じ。

だが正直に感想を言わせてもらうと、この映画は色々な点で拙い。

まず空に踊るタイトルからして過剰にコミカル。各キャラの台詞や所作、各エピソードのまとまり、話が過去に飛ぶ際のテロップその他の細かな演出など、『拙い』と感じる場面は少なくない。
特にヤクザのボス(名前は……自粛します)は、衣装も演技も含めてやりすぎ感強し。

しかし!である。
普段の僕なら最初の時点で『リアリティが無い!』だのと言って白けてしまう所だが、この映画は最後まで楽しめた。
何故かって、作り手がメチャクチャ楽しそうに撮ってる感じが、そして何より『観客にも楽しんでもらおう』という努力が伝わってくるからだ。
まず自分が伝えたい物語があり、それをベースとしてどうしたら観客を笑わせ、騙し、感動させる事ができるか。この映画はそれを懸命に考えていて……しかも成功している部分も少なくない。

豪華脇役陣も適材適所な感じで楽しいし(お休み中の岡村さんも大活躍)、思わず熱くなるシーンもある。
特にハイライトである路上ライブのシーンが泣ける。
お先真っ暗な今の世の中で、それでも笑って生きていられるのは、この映画のような馬鹿で楽しい友達のお陰だ。
少しの間でも辛い事を忘れさせてくれる友人を持つ人ならきっと、その友人の顔が浮かぶ筈だ。

また、うまく表現できないが、この映画は、邦画を観た時に感じる閉塞感のようなものがまるで感じられない。どこかカラッとした、異質な感じが面白い。だからこそ噴水や子供時代など、センチメンタルなシーンが長いという『いかにも邦画』な所があるのが残念でもある。

この映画は、小栗旬という俳優の人気ありきの企画か?
その通りだろう。
だがどうだ、当の本人はそんな事はお構い無しに、実に楽しそうに撮っている。
映画の終盤で、竹中直人が「勢いだけじゃねえか」と笑う。
それでいいのだ。どうせ勢いを無くしてゆく人生なら、ある内に使っとけ。
勢い上等。馬鹿で結構。ガムシャラでいいのだ!

次回作への期待を込め、観て損無しの3.5判定。

<2010/7/17鑑賞>

浮遊きびなご