「画竜点睛を欠く」BECK Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
画竜点睛を欠く
総合:60点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 55
ビジュアル: 65
音楽: 50
平凡というよりも平凡以下のどこにでもいるいじめられっこ少年が、ある出会いをきっかけに変わる。こんな偶然そう簡単に起きるわけもないのだが、それでもその偶然を元に猛練習してきっかけを掴み取ったのは本人の努力と才能。青春映画としてなかなか面白そうだと思ったのだけど、実際そういう場面は悪くないのだけど、変にアメリカのギャングやら日本の大物プロデューサーやら絡んでくるしでいきなり普通の高校生には随分と話がでかい。もっともこれは映画の問題ではなく原作がそうらしい。いずれは原作も読んでみよう。
それからやはり音楽の使い方は問題。テレビ放送で見たから、最初はカットされたのかと思った。原作者による「とにかくすごいボーカル」という印象を壊さないための方針のためなのだろうが、これでは映画を見た人の心を動かすことは出来ないだろう。「ストリート・オブ・ファイヤー」のように映画の中でオリジナル曲を素晴らしい演奏させて(本当は口パクらしいが)実際に曲をヒットさせた映画もあるのだから、たとえ俳優は口パクで吹き替えの歌でもいいから頑張って欲しかった。「ストリート・オブ・ファイヤー」が凄かったのは最後のライブがすごかったからというのが間違いなくあった。また映画「ウォーク・ザ・ライン」「ロック・スター」の中で歌われる歌は迫力があった。そこに歌がなければそもそもこれらの映画は成り立たなかったに違いない。
この最後のライブの場面なども悪くないし、俳優たちもまだまだ素人から成長途上のバンドメンバーといった初々しさも残していてなかなか面白かった。だからやはりこのボーカルなしの音楽がとにかくがっくりとくる。ロックなのに印象を壊さないように逃げているなという印象を与える。最高の音楽を聞かせていい映画を撮ろうという意欲をもって挑戦して欲しかった。