「テレビスペシャルでよかった」ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ うさぎおいしなの山さんの映画レビュー(感想・評価)
テレビスペシャルでよかった
『LIAR GAME』シリーズ完結編?この後公開されたのはある意味スピンオフだと思うので、神崎直と秋山深一の『LIAR GAME』はこれで終わりと思い鑑賞。
『LIAR GAME』のドラマ版の何が良いかと考えると、まずあの安っぽいセットに、ザラザラとした映像、そしてくどいくらいだが面白い演出じゃないかと思う。
そして『毎週神崎直と秋山深一がピンチになるorフクナガの裏切りに爆笑』するけど『毎週秋山の無双が見られるorフクナガの手のひら返しに爆笑』をする。
この『毎週』ってところがこの作品においては大事な事で『一回の鑑賞で数回のピンチと秋山のドヤ顔無双』をしていると『今日は秋山無双の日だ!よっ!待ってました秋山サーン!そしてこの後直ちゃんはどうなるのかな?』ってならない。もうテンドンもテンドンなので『直ちゃんお前さぁ…流石に学習しろよ、ここ本当にファイナル会場なのか?』ってなる。実写版のこの作品土曜の夜に観るのにはいい作品で、せいぜいテレビで最終回90分拡大くらいで『テレビで始まってテレビで終わったね…これから一体何を楽しみにしていけば…』くらいのでよかったと思う。
テレビドラマが劇場版になると大抵「画質がよくなり、セットとかにもお金が掛かって規模がデカい」ものを観ることが多いけど、本編さえ素晴らしければ正直画質もセットもチープでいい。今回の場合、テレビドラマ版の作風を踏襲するのならチープな画質で良かった。なので開始早々神崎直が船に乗ってるところで「あー、これは余計なところに金かけやがったよ」となってしまった。
それで本編の話をやっとするのだが、まあ映画終わるまでの間に裏切り者がポンポン出てきて直ちゃんがショック受けて秋山がピンチになったかと思ったら実は秋山は全部見破っていたと直ちゃんが知る、みたいな展開を終始観ている。ドラマでも同じ事をしているのだが、ドラマならいいところで「次週!フクナガが云々!」となって「えー!いいところだったのにー!」となるんだけど、映画だとその引きが出来ないので余韻みたいなものがないのだ。
そもそも今回のゲームは多数決。『LIAR GAME』ファンなら印象深い「少数決」の逆転バージョンだし、「少数決」の回の「X」も出てくる。フクナガとミュージシャン風の彼が揃っているポスターを見て「うおおお!!あのメンバーがいる!どんな事になるんだろう!」ってなるはずだった。
なんだけど、今回はそんなにフクナガともミュージシャン風の彼との交流が殆どなく「あれ?なんかもう少し絡みがあってもいいのでは?」となってしまった。
ファンサービスだったのか、それともファン心理をあおったのか。どちらにしてもフクナガもそんなに場を荒らすわけでもなく、何か足りない…と感じた。
映画のラスト、秋山が「嘘つきはダメか?」と言うシーンはドラマ版『LIAR GAME』の最終話で神崎直が「バカ正直じゃダメですか?」と秋山に問いかけた真逆の場面。本来ならもう少しアツい気分になったと思うのだが、なんだか取って付けた感が否めなかった。
あの二人が恋愛関係になるのであれば、もう少しそれっぽい布石をやって欲しかったし、とにかくもったいないなぁ~としか言えない。
他作品を持ち出すのは卑怯かもしれないが、うまくいけば『TRICK』の山田と上田のコンビのように、息の長いシリーズになれたと思う。山田と上田の「この人ら恋愛関係になりそうだけどならない。けど本当は好き同士なんじゃないの?」なんて事を視聴者が勝手に想像できる余白がこの作品ではそんなにない。
しかしもったいない。もしかしたらドラマ→映画→ドラマ→映画→スペシャル→完結編みたいな『LIAR GAME』の秋山と神崎直ってコンビの活躍を長く観ていたかったのが正直なところ。秋山は漫画を読んでても松田翔太の声で脳内再生が余裕なくらいはまり役だったし(松田翔太の役で一番好きなのは?と言われたら、迷わずこの作品の秋山深一と答えるだろう)、強気な性格ではなくバカ正直な性格の役どころなのに可愛いなぁと見られたのも戸田恵梨香だったからで、このコンビでまた『LIAR GAME』見られたらいいのになんて思ってしまった。もう、だいぶ前の作品になってしまったけども。総じてもったいないの一言に尽きてしまうのがなんとも言えない。
作品の内容はタイトル通り。
この映画を観たらまたテレビドラマ版『LIAR GAME』が見たくなる。あー本当いいコンテンツなのに。もったいない。心底もったいない。