ゴールデンスランバー(2010)のレビュー・感想・評価
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さすが伊坂
原作は未読ですが、伊坂幸太郎であれば面白くないわけがない。
中村義洋監督、堺雅人、竹内結子とくれば、「ジェネラルルージュの凱旋」じゃないですか。
面白くないわけがない。特に中村監督は、伊坂幸太郎スペシャリストですから。
仙台で首相凱旋パレード中にラジコンヘリが首相の頭上で爆発。(ここでも凱旋だ。)
首相暗殺事件と何のかかわりもない宅配ドライバー青柳(堺)。
身に覚えがないのに犯人に仕立て上げられ、知らないうちに陰謀に巻き込まれ、あっと言う間に指名手配。
仙台一体に張り巡らされた包囲網をかいくぐって、逃げる青柳。
逃げ切れるのか、青柳。
誰が何のためにこの事件を起こして、何故、青柳が犯人に仕立て上げられたのか。
全てが謎です。何故、青柳かということは映画の中で明らかになりますが、事件の真相については語られていなかったように思います。
僕は巨大な陰謀の影を表わしてほしかったのですが、あえて語らず、政治や権力の不気味さを余韻として残したかったのかもしれません。
情報操作や警察権力の正義を盾にした横暴、民衆はあっという間に騙されます。
ねつ造された証拠・用意された替え玉を見ると、現実にも行われていたら騙されているなと思ってしまいます。
ブラックな棘がささるようです。
奇しくも、新政権が誕生した日本では、映画と同様の世情であり、ひょっとしたらどこかで誰かが暗躍しているかもしれません。
緊迫した逃走劇とは逆に、逃走中に触れ合う人たちや大学時代の仲間の助けにより逃げ続けるところに、ハートウォームでウェットな人というものを挿入し、救いのある物語となっています。
会社の同僚、入院患者、花火屋、アイドル、大学の後輩、そして元彼女。
人は人との繋がりで生きている。
だから、ゴールデンスランバーなんですね。ポールはもう一度繋ぎ合わせたかった。
青柳を知る人には、彼が首相殺人をするはずはない、という妙な信用があり、逃走を継続することができます。
サスペンスの形をとっていますが、友情・人情の物語だったんですね。
青春回想シーンは甘酸っぱく、ベタです。バイトの花火屋、デートに使った古い車、思い出とともに伏線に使われています。
他にもいろいろ伏線がありますが、きっと使われるだろうと伏線は、期待通りに使ってくれます。全部拾ってくれるので、見ていて満足するくらいです。
逃走し続けることができることには、ちょっと都合がよすぎるようには感じましたが、結構、感情移入して、映画館全体で逃走を応援する空気になってきます。
この映画の魅力は、主役の堺雅人はもちろんのこと、キャラクターの素晴らしさです。
元彼女の竹内結子は、とても充実していて更に美しくなったように思います。
劇団ひとりは堺を喰うくらい良かったし、キルオの浜田岳は勝手にやっちゃてる感じがすごく良かった。
香川照之は相変わらず怪演ですし、永島敏行の不死身ぶりも楽しい。
柄本明は全部アドリブに見えるほどお気軽な感じですしね。
個人的には、出演シーンは少なかったですが、青柳の両親役の伊東四朗と木内みどりが気に入っています。ラスト少し前のシーンなんか、すごくいい味出してるんですよ。
ただ、最後はあれでよかったのかなあ、と微妙な違和感が僕の中ではあります。
でも、最初で最後、デパート?のエレベータに繋ぐシーンは、最後まで暖かくしてくれて、よかったなあという気分になりました。
仙台ってファンタジー王国なの?
厳選した感、配役の素性そのもの、実に飾ってない良さだった。
ゴールデン・スランバー;Golden Slumbersは、1969年のビートルズ後期のアルバム「アビイ・ロード」に収録された曲。
ポール・マッカートニーの作で、引き続き「キャリー・ザット・ウェイト」「ジ・エンド」、アンコール・ナンバーの「ハー・マジェスティー」と流れていくメドレー構成のもの。
おそらく回復不能となりつつあったビートルズの結束力を羨むかのような、ポール自身の告白的な部分が占めている曲だ。
昔、家路に帰る道があった・・・などという歌詞の出だしからも、4人が再び集まり愉快なひと時を過ごせることをどこかで望んでいた節が窺える。
だからこその「黄金のまどろみ」という名目なのだろう・・・実際には、実父のジム・マッカートニー宅へ行った際、腹違いの妹に読み聞かせた絵本のタイトルからの引用だったという。
誰しも忘れられない望郷の日々や、当時の仲間たちとの楽しい時間、あるい自分だけの大切な空間があるはず。
それを非現実的な逃亡劇とアクション感覚で表現したのが、2007年に出版された伊坂幸太郎の小説「ゴールデンスランバー」、その待望の映画化である。
国家権力に操られ、平凡な宅配ドライバーの青柳という青年が迷走していくストーリ展開だ。
原作ではいくつもの伏線が張られた四部作になっているらしいが、劇場版では複雑な部分はカットされ、青柳の逃亡ぶりをそのまま活かした構成だという。
仙台(原作者が学生時代を過ごし、そのまま定住している)を舞台にした内容のため、全てのシーンが同市内で撮られている。
とある宅配ドライバーが総理大臣暗殺犯に仕立てられるというのが、普通は信じられない選択だ。
ところが、人には言えないプライバシーや不当なものでさえ無意識に仕込まれてしまうという意味で、意外と宅配業者は盲点なのである。
著名人物から荷物の配達や集荷を承ることもあり、各人の自宅に窺うケースもあり得る。
実は街の情報通なのである・・・ある意味、彼らを敵にしてしまうと、その町に住めなくなることも考えられる。
逆にそんな宅配業者の盲点を突き、権力者が不当な横流しや流入に活用したところで、ほぼ発覚するケースは知られていまい。
だから、原作者の伊坂が主人公を宅配ドライバーという設定にしたのも、盲点を突く意外な存在感であることを何気に示唆している可能性もある。
各配役が見事なほどに当てはまっている。
主人公青柳役の堺雅人など、ほとんど地でやっている感じだ。
人柄そのものも、青柳と大して変わらないほど素朴で分かりやすいのかもしれない。
本当のところはわからないが、時折見せる彼のオフな姿などは、きっと表裏を気にもしない人というイメージだ。
その他、竹内裕子のちゃきちゃきとした溌剌さや、劇団ひとりの朴訥さ(実際の当人は人見知りが激しいシャイな人らしい・・・)など、きっと演技指導も何もないまま当人たちに「お任せ」だったのだろうと、中村義洋監督の手法が窺える感じだった。
更に脇役的なベンガルや江本柄の東京乾電池組の存在感は何とも言えない・・・お互いに顔も知らぬまま妙な連帯感で青柳をフォローしていく。
なぜかコミカルな暗躍ぶり、もっとも謎めいた人達だ。
大きな権力や陰謀に飲み込まれ追い込まれていく中、青柳は不思議な縁で命拾いを繰り返す。
そこでは、アンダーグラウンドな連中が彼の広告塔的(要は指名手配されたという)立場を利用していくのだが、次第に彼の素朴さや純真さに加担していく。
最後に残された武器は、人を信じることだから・・・
という青柳の一貫したポリシーに、関わる人たちのほうが次第に打ち解けていくあたりは、ヒューマンドラマタッチだった。
それに、青柳の父親役である伊東四郎のさりげない演技力は見ものだ。
息子の無実を徹底的に信じていることと、息子をかばう物言いと態度が、スクリーン全体でひと塊りになって向かってくるほどに熱く微笑ましい。
もっとも心に残った。
あり得ない導入部分だから、あり得ない展開と、あり得ない結末へと向かっていく・・・主人公の青柳を含めた関係者たち(一連の騒動に一役かった人たち)の「黄金のまどろみ」とは、むしろ過去の懐かしい想いではなく、この先いかなることがあろうと、何かを信じて止まない思いの中にあるようだ。
映画化の必要性を問う
引き込まれました!!!
ありきたりの日本映画かと思ったが・・・。
普段は日本映画を見ない私が久しぶりにお金を払ってスクリーンで鑑賞した。
というのも日本映画は、やたら叙情的で登場人物の人間性や感情を全面に出す作品などが多いように思う。洋画のように練りに練った脚本で見せるといった作品が少ないように思う。
もちろんこれは私の主観であり人それぞれ好みがあると思うが。
この作品は予告編で見たとき日本映画に珍しくアクションものか?と思い、見てみることにした。
案の定、映画の前半は台詞で見せる日本映画独特の雰囲気・・・。
ああ~、やっぱりはずれか・・・、と思いきや「キレオ」なる人物が登場してからが面白くなりいい意味で裏切られた。
完全な笑いではなく、クスッと笑うようなシーンも多く、結構楽しめた。
結末はあっさりでちょっと物足りないが話の筋としては成り立つと思うので有りだと感じた。
原作本があるのは知らなかったが、久しぶりに見た楽しめた日本映画の一作品だと思う。
辛い話なのに笑わされました
個人的にほぼ100点に近い出来(あの原作として)
気楽に楽しめる作品だと思います^^
「演技」をしている俳優の少ないこと(笑)
主演の堺雅人はまだしも、竹内結子なんて「素」なんじゃないかと(笑)
吉岡秀隆も「あのまんま」だし、出てくる俳優陣は普段のイメージそのまんまのあの人たちでした(笑)
その点では意外性も無く、面白味に欠けますが、安心感は抜群(笑)
特筆するならキルオ役の濱田岳かな?
あのキャラは主役を喰ってましたね、完全に。
彼の生涯を描くドラマが成立するんじゃないかと言うほどに。うん。
香川照之は悪役の方が合ってるね。そんな気がしました。
主役が堺雅人というキャスティングな時点で、派手な映画では無いと思っていましたが、その通りでしたよ(笑)
だけど、原作とは別の頭で観たら、それなりに楽しめる映画なのではないでしょうか?
「何を訴えたいのか?」とか「本筋は?」とか、そういったことは抜きにして、気楽に楽しめる映画だと思いましたよ。
充分楽しめます
シリアスな犯罪映画として観たら大間違い
根幹はマジな話なのだが、そこにいろんな枝葉がつく。それもかなりいい加減で、粗雑で、乱暴で、・・・と思って観ているうち、この作品が60年代から70年代にかけて作られたニュー・シネマのような匂いを感じてきた。
そうして思えば、ビートルズのアルバム「アビー・ロード」に収録された同名の歌を口ずさむシーンにも納得がいく。時代も歌詞の『かつては帰る道があった』も、この作品が放つ人が人との繋がりを大事にして生きていた時代の懐かしさに符合する。そして、日本国民が自家用車を持つ時代になった象徴的なクルマ、カローラと当時のCMソングも生きようというものだ。
気づくのが遅かった。まどろんでいたわけではないが、携帯やiPodといったデジタル機器を絡めた展開で思いが及ばなかったのだ。中村義洋という監督、センスがいいと思うよ。
私のように原作を知らずに観ると、シリアスな犯罪映画を期待して裏切られる。無実の罪を被るが、なんでもありのサポートを受けながら逃亡する、不器用な男の物語として観れば、これはかなり面白い。いたるところに隠し味や仕掛けが施されている。
逃亡の過程で少しずつ逞しくなっていく姿を演じた堺雅人はさすが。
この作品でも竹内結子がノッている。演技も容姿も見ていて気持ちがいい。ますます可愛く美しくなってきたが、それってまさか仙台の病院で○○したんじゃないよね? もちろん冗談です。
新年早々、2010年私的ワースト候補作
原作未読者の意見である。
冒頭の、緊張感に乏しい首相暗殺のシークエンスからイヤな予感はしていた。
この映画は巻き込まれ型サスペンスがやりたいのか、友情物語がやりたいのか。
たぶん両方をやろうとしたんだろうが、結果的にはどちらも中途半端で薄っぺらい。それどころか両者が互いの邪魔をしているようにさえ見える。
この映画では、主人公が困った時に必ず適材適所の人物が現れる。
それが一度や二度ならまだ許せるが、この映画の場合はあまりに都合が良すぎて白けてしまう。
特に「びっくりした?」が決め台詞のあのキャラは……主人公を助ける動機も不明なら存在理由も不明。御都合主義もここまで来るとギャグだ。
そもそもこんな辻褄合わせに終始したようなヒドい脚本をよくそのまま撮る気になったもんだ。
主人公自身も常に受け身の行動しか取らない。自発的に窮地を脱するシーンはほぼ皆無。
かつての友情と元来の人間的な魅力が彼を救う、という物語なのだからそれも仕方ないかも知れないが、『人の良さ』以外の魅力はひとつも伝わらないし、唐突に挿入される回想シーンを見たところで大学時代の友人達との固い信頼みたいなものは見えない。
薄っぺらな登場人物たちを、力のある役者陣の演技が辛うじて救っている印象。
特に、短い出番ながら味のある伊東四朗や笑顔の不気味な永田敏行とかは悪くない。
あと、斉藤和義の音楽も良いし、一万歩譲ってメチャクチャな展開に目をつぶれば、後味も悪くない。
という訳で、辛うじてのC。
邦画のメジャー大作で出来の良いサスペンスなんてもう観られないんだろうなと寂しくなった。
脇役の方が印象深い映画・・・かな?
原作を1年以上前に読んで、大変面白かったので1日で読みきった。(図書館の本)
今回この映画を観てもうっすらとしかストーリーが思い出せず。
老化現象だといえばそれまでなんですけど、
東野圭吾作品なんかにもよくありがちで、面白くって一晩で読み切った小説は大概忘れる・・・読むのに四苦八苦した方が記憶に残るのは私だけ?
濱田岳くんのキルオが秀逸だったかな。
良い意味で原作キャラを裏切ってましたね。良かったです。キュートで。
堺雅人の父役の、伊東四朗もとっても良かったです。
ついホロリときちゃいました。自分もこんな風に親に信じていてもらいたいな、と思いました。
ほんと、相変わらず何をやってもいいですね。 『痴漢は死ね!!』
(関係ないけど、木内みどり久しぶりに見た!年取りましたね・・・。)
「ロックだぜ」キャラの先輩役、渋川清彦さん。
もっと「ロックだぜ」を強調してほしかったです。個人的に。
竹内結子の学生時代の髪型はあんまりだ!ほかにあるだろ!
誰も反対しなかったのか?フォン◎ーヌの実力不足か?
堺雅人は予想通りです。
良かったけど、それ止まりって感じかな。上から目線ですみません。
ずっと同じ服装で逃げ回っているので、「速く着替えろ!」
ってずっと思いながら観てました。
現実のテレビでも、犯人の服装は必ずゆうやん!いっつもこんなん意味ないんちゃうの?って思いながらみてるのでミョーに気になりました。
岩松了が最後のクレジットで名前出ていたのですが、整形外科の役?
声だけ使うなんて、ある意味贅沢かも。びっくり。
永島敏行が二枚目じゃない役を怪演してましたね。印象的でした。
この映画、仙台知ってる人は2倍楽しめそうですよね。
知らなくても楽しめましたけど。
1/30ロードショーだから混雑覚悟で行ったら、ガラガラだった。そんなもんなんでしょうか。
面白かったけどなぁ。観て損はないと思います。
・・・が、思いっきりは薦めません。
伊東四朗....泣けますね!
「よく出来ました」止まりでも面白い
パラレル日本でのお話?
首相公選制が実現している時代が舞台。当選後初めてのお国入りの首相を暗殺した濡れ衣を着せられた男の二日に渡る逃亡劇。原作の舞台は、仙台市。映画も、全編仙台での撮影を敢行しています。
映画化を知ったのが先だったか、原作を読んだのが先だったか忘れてしまいましたが、面白い原作を上手く脚本化した映画だと思います。原作の面白さが、上手く脚本に落とされています。良い原作を、脚本化に際してズタズタにした映画とは大違いです。とは言っても、脚本化に際して簡略化された設定もあって、原作では「キルオ」逮捕の為と言う口実で導入されている監視カメラシステム「セキュリティポッド」の件が完全に省かれていました。それと、井ノ原小梅と青柳雅春の絡みはもう少し有ったと思うんですが、映画ではほんの少しに成っていました。とは言え、肝心のところは抜けていないので、かえって良かったのかもしれません。
原作を読んだときはあまり気にならなかったのですが、時代背景が少しバラバラ?な感じがします。現実の世界と比べると、何時の時代なのか時代感がイマイチ不明なんですよね。首相公選制も実現しているので、もしかしたらパラレルワールドの日本と言う設定と考えた方が良いのかもしれません。警察もムチャクチャやってますしね。
さて俳優陣ですが、劇団ひとりはまだギリギリ大丈夫かもしれませんが、堺雅人や吉岡秀隆に30歳の役は、ちょっとキツイのでは・・・(失礼)。お二人とも良い俳優なので、彼らの実年齢に物語の設定を合わせた方が良かったのではないかと思いました。そうすると、竹内結子が辛くなってしまうんですけどね:-p。それにしても、堺雅人は、「南極料理人」のゆるい系の役も良かったんですが、何と言うか、こう言う怒れる必死系・熱血系の役も良いですね。「クライマーズ・ハイ」とか「ジェネラル・ルージュの凱旋」での熱演も思い出してしまいました。
日本の映画も、こう言う面白い作品が生み出せるようになったんですね。原作を知っていても、知らなくても楽しめる作品だと思います。
事件のカギを握るのは、ビートルズの名曲って・・・
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