「この映画が、描きたかったのは・・・?」ゴールデンスランバー(2010) macaronさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画が、描きたかったのは・・・?
「アヒルと鴨のコインロッカー」「フィッシュストーリー」に続く、
伊坂幸太郎原作、中村義洋監督シリーズの第3弾。
個人的に、伊坂幸太郎さんの原作がちょっとニガテで、
(本作も原作は未読です)
中村監督も他の作品はあまりピンと来なかったんですが、
既出の2作はおもしろかったので興味を持っていたところ、
お友達に試写会に誘ってもらいました。
あらすじとしては
ひょんなことからアイドルを危機から救い、民間人ヒーローとなった男が、
一瞬にして首相暗殺犯にしたてあげられ、逃亡するという話。
あっというまにメディアに取り上げられ、見事な犯人に仕立て上げられた彼を救うのは、
ほんとうの彼を知っている、家族や仲間からの「信頼」のみ。
果たして彼は真実を世間につきつけることができるのか・・・??
といったところでしょうか。
主人公、青柳雅春は誠実で丁寧な男。
彼の、日常生活での真摯さ、素直さといった人柄が、
窮地に追い込まれた彼自身の身を救っていきます。
冒頭でも、「人間の武器は「イメージと信頼」」という言葉が出てきますが、
青柳を演じる堺雅人さんはミステリアスにも見えるけど、誠実で実直、という役がイメージにぴったりだったかなぁと思いました
でもそれ以上に、彼の学生時代の恋人であり、最大の理解者、樋口を演じる竹内結子さんがすばらしかったです。
樋口は、どんなときでも
自分の気持ちに正直で、自分の考えで動くことができる女性。
竹内さんはそんな樋口を、凛とした強さではなく、飄々とした雰囲気で演じていて
とても印象に残りました
そしてとにかくきれい!!
たたずまいが素敵でした。
そんなふたりの学生時代からの回想シーンが
張りつめた逃走シーンの合間合間にはさまれていて、
途中、何度も胸がせつなくなりました。
カタチにはならなくても
しばらく連絡が途絶えていても
信じる、という気持ちだけでつながっている
学生時代の仲間たち。
そこに流れる「Golden Slumbers」
そこにあるべき「帰る場所」が遠く感じられるときもある。
それでも、ひとは、「思い出」つながっている。。。
実は青柳と学生時代の仲間との接触シーンは
ほとんど前半の最初の方だけです
それなのに、「つながっている」と感じられる
そんな絆に胸がせつなくなりました
が
しかし
一方で
そのぶん、青柳が首相暗殺犯に仕立てられ上げられてしまった経緯や
その実態、
そしてそこからの社会批判などなどについて、
ちょっと描き方があまかったかも。。。
「それはおいといてもいいじゃん」と言うには
社会的なメッセージ的な部分もところどころに出てきてしまっていたような。。。
2時間半という決して短くはない映画ですが、
釈然としない部分やとっちらかってしまった部分も多かったかなと思いました
結局のところ。。。何を言いたかったのかが
曖昧になってしまったような印象です。
伊坂さん作品なので、
もしかしたら小説を読んでいたらもう少し違って見れたのかな…?
ですが、
ちょっと疲れましたが、見ごたえはあるかな、と思います。
斉藤和義さんが唄う、
「Golden Slumbers」がとってもよかったです。