「ストーリーはありきたりだけど、フクロウの飛翔感、そして軍団同志のバトルシーンは迫力有り。」ガフールの伝説 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリーはありきたりだけど、フクロウの飛翔感、そして軍団同志のバトルシーンは迫力有り。
フクロウたちの活躍を描いた人気児童文学を個性派監督が映像化した話題作。
ファンタジーに欠かせない大規模戦闘シーンなど、フクロウで迫力が出るのだろうかと思ってみていたら、結構迫力あるシーンを魅せてくれました。
やはり「300(スリーハンドレッド)」や「ウオッチメン」など、圧倒的なビジュアルセンスと演出力で定評のあるザック・スナイダー監督作品だけのことはあります。特にバトルシーンでは、鉄の爪で武装したフクロウたちの立ち合いを、「300」同様のスローモーションで描いて、緊迫した戦闘のあらましをわかりやすく伝えてくれました。
本作の魅力は、何と言っても大空を自由に飛び回る飛翔感です。フクロウ目線で、空を飛んでいる気分が味わえるという点では、3Dでの鑑賞がおすすめでしょう。
特に主人公のソーレンがもガフールの伝説の神木に向かうときに、嵐にの風雨に巻き込まれるときの映像が幻想的です。
物語の舞台となるのは、人類が消滅したあとの世界。そこには、高度な知能を持ったフクロウたちが平
和に暮らしていました。ところが彼らの王国に、邪悪な組織・純血団が出現。兄と共に純血団に誘拐されたソーレンは仲間と共に、脱出。伝説に語り継がれる正義の戦士、ガフールの勇者が住むという不思議な神木を探す旅に出むいていきます。
強さと名誉を求める余り純血団に残ってしまった兄タラッドのと確執を中心に、強大な悪から王国を守るため、過酷で危険な旅に出たソーレントその仲間たちの大冒険が描かれていきます。
注目すべき点では、2Dでも充分に伺えたデジタル3Dによる立体映像。自然な奥行き感や、飛翔シーンでの臨場感など、観る者を幻想的な世界へと導く立体的な映像群は圧巻でした。
そして、個性豊かなフクロウたちのキャラクターも素晴らしい出来映えです。擬人的なフクロウながら、体温すら感じさせるリアルティで違和感を全く感じさせませんでした。
ストーリー面では、ファンタジーの王道を行く流れで新鮮みはありませんでしたが、小柄なフクロウ同志が迫力あるバトルを展開するという点で見応えがあった作品です。もう少しバトルシーンで戦闘に参加するフクロウ軍団の数を多くして欲しかったなぁとは思いました。
見所としては、ろくに飛べずに頼りなかったソーレンが、一人前の勇者に変わっていくところ。味方のピンチに、業火に飛び込む様は、『ヒックとドラゴン』のラストに似ているなぁとは思いましたが、ソーレンの勇気を感じさせてくれました。
CGアニメ作品ですが、充分に大人の鑑賞に堪えられるレベルのものだと思います。
但し冒頭に、ワーナーの短編アニメが付いているのですが、ピクサーと比べてまだまだ映像が荒く、技術の差はかなり引き離されているなと感じました。