「1作目よりは上出来」しんぼる tatsughtさんの映画レビュー(感想・評価)
1作目よりは上出来
松本人志という男は、変なヤツである。普通の映画を作る気など毛頭なく、自分が作った映画が不評だろうが好評だろうが知ったことではない。自分がやりたいようにやる。たぶん松本監督はこう思っているんじゃないかと、本作を観ている最中に思った。
冒頭はメキシコの一般家庭を映し出す。中には覆面を被った男が1人。後々になって分かるが、どうやら今日は大事な試合があるようだ。
その直後、殺風景な部屋に寝巻きを着た男が現れる。なぜ、何のためにここにいるのか。それは観客にもこの男にも分からない。肝心のコメディ部分はここに集約されるが、映画としてはまだまだ未熟の一言につきる。ウケてないのに同じセリフを繰り返す、誰もが予想できるオチをなんの躊躇いもなく実行するなど、計算が足りない展開が続く。
一見無関係に思えるこの2つの要素——プロレスラーと寝巻きを着た男がいる部屋——が、どういう関わり合いを見せるのか。観客の興味はそこに集中される。ラストが近づくにつれて、段々とこの映画の言いたいことが分かってくる。それは何も難しいことではなく、至極単純なものである。観ても分からなかった方にヒントを言うと、自分を中心に世界が回っていると勘違いしたことはないだろうか。それを頭の片隅に置きながらラストと照らし合わせてみると、おのずと答えが見えてくるはずだ。
コメントする