「究極のネタ男の調理法は…」クヒオ大佐 77さんの映画レビュー(感想・評価)
究極のネタ男の調理法は…
【アメリカ人になりすました結婚詐欺師のコメディ映画】
わーおもしろそう!…えっ!実話!?!?いやいやホントに実話!?(知らなかった)というのが観る前の印象w
こんなありえないお話が実話と知ってどんなS級のおバカさんかすごく楽しみになりました。同時にこんな変な手口で1億円も女性から騙し取ったということは頭が切れる…というより先天的にそういう(母性本能をくすぐる系のw)天然の魅力がある人なのかも、そうじゃなきゃねぇ、、なんて考えてわくわくしながら見始めました。
クヒオ大佐はS級のおバカには間違いありませんが予想に反してなかなか小賢しい男でしたw
もちろん小賢しいだけなのですぐ剥がれるメッキなわけですが。
[弟]も小悪党なんだけど完全にクヒオ大佐が劣勢な会話は笑えるしスカっとしましたw (「なんで($札に)両替すんの?全部バレてるのに(真顔)」とか)というかアメリカ人を名乗るのに最低限の英会話もできないとか保険かけてなさすぎるw
実際のエピソードとどれくらい違うのかにもよるけど、この“小賢しい男”を映画化するならもっともっとドタバタコメディ風なものが観たかったなあ。もうあんなクオリティーの高い付け鼻じゃなくバラエティーで見るようなので全然OKw 肩の力抜くというか不真面目に「これが前代未聞のアホですよ」くらいのテイストで良かった気がする。『腑抜けども-』の監督らしくない生真面目な感じがしました。
クヒオ大佐のキャラクターからまったり系になるのはわかるけど、がっつり笑えたのは上記の[弟]との絡みくらいで設定(といっても実話なんだけどw)から想像したようなパンチはなかったのが残念。
あとあくまでも“滑稽な人”として描くべきだと思うからなんで金髪にしなかったのか不思議。本人はそうやって偽ってたんですよね?
堺さんのクヒオ大佐っぷりが素晴らしかった(あの役は彼にしかできない)から違和感というか…似合わなければ似合わないほどいいと思うのに。
滑稽な人と言いましたが、彼はイタいだけじゃなく“詐欺師”なので映画化するなら同情したくなるような作りにはしちゃいけないと思うのです。
辛い過去から妄想に生きていた本人に詐欺師という自覚はなかったかもしれないし、また“恋は盲目”にもなれない“彼”に惹かれた女性には別に真偽は重要じゃなくて、お互いが望んだ恋愛で後悔しないなら騙したり騙されたりも勝手にやればいいと思うけど、
他の人の生活(お弁当屋の店員さんたちとか)まで巻き込むとそれは“悪”だとおもうから(逆を言えば彼がフォローが徹底した小賢しくないプレイボーイならそれを“詐欺”と呼ぶか迷う)、柔らかい空気やバックボーンやそれを売りにしない人柄だけじゃ色々説得力に欠ける。
確かに超映画にしたいネタ男だけどw、こういう実在の人物をこういう風に映画にすると“悪名でも武勇伝”的な印象が残るし(武勇伝と呼ぶには色々とダサいしw、もちろんクヒオ大佐にも色々事情はあるだろうけど)、終始ネタ映画に徹してほしかったかなー。
あんなことができるくらいの本人は、色んな意味で“すっごい恥ずかしいこと”というのは分かってるんでしょうかw まああそこまで突き詰めたのは凄いっちゃ凄いんだけどw 今はどうしてるのかなあ。
思ってたのとは違ってなーんだと言う感じは否めないんですが、役者さんの演技だったりニガクリタケが伏線になってたり、最後数分は「???」状態が続いた後「なるほどw」とスッキリできる演出は良かったです。
にしても松雪さんまたお弁当屋さん!?w 綺麗だし可愛かったけど久しぶりに『デトロイト-』みたいなパンクな役もみたいな〜 今回コメディ映画ということなので期待しちゃってましたw