「壮大な夢オチ作品」インセプション 彩さんの映画レビュー(感想・評価)
壮大な夢オチ作品
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昨日の地上波初放送で3回目の観賞。
これは壮大な夢オチ作品だ。
コブは一流の産業スパイでもなんでもない、
妻に死なれて子どもに会えなかった、ただの哀れな男に過ぎない。
ラストシーンのコマに惑わされるが、
コマはモルのトーテムであって、コブのものではない。
指輪がコブのトーテムだという説もあるが、
この作品において「どこまでが現実で、どこからが夢か」という議論はあまり意味がない。
実は、「夢のスペシャリスト」という設定がコブの夢だったのである。
真相は「妻と心中して自分だけ助かった男が、罪悪感から現実逃避し夢の中でスパイごっこをしていた」、これである。
目が覚めて、己の罪を認めて、「(現実に)おかえりなさい」と迎えられ、我が子に会えた。
この後、刑務所に入れられようが病院に入れられようが、ハッピーエンドである。
まんまとミスリードされたわけで、
『シックス・センス』や『ユージュアル・サスペクツ』と同質の作品だ。
より巧妙な『シャッター アイランド』だと言ってもいい。
こちらは、騙されたことに気づかないまま映画館を出る観客が大半なのだから。
構想10年だそうだが、『シックス・センス』が公開されたのが11年前である。
クリストファー・ノーラン監督は、この作品で
「映画を作ることって、夢をみるのと似たようなもんだ」
というメディア論まで提示しているのだ。
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