「目覚めてスッキリかグッタリか。」インセプション ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
目覚めてスッキリかグッタリか。
この監督の作品はいつ観てもこんな感じだと思った。
アウトラインはシンプルな話でも、監督の手で
複雑な方向へ芸術的方向へと進化させていくような
上手く言えないが、簡単な話を複雑化させることが
好きなヒトなんだろうな、という感じだ。
やや神経症(すいません^^;)みたいな印象を受けるが
作りだす作品もそんな感じのものが多い気がする。
すべてに先行するのは独特な映像センスで、これは
どの作品を観ても本当に見事。観たことのない世界を
ここまで具現化できるというのは技術の進歩もあれど
やはり作り手側の才能としか言いようがない。
監督自身が誰かにインセプションされてたりして^^;
ディカプリオ主演で、というのもあるんだろうが
どうしてもあの「シャッターアイランド」で彼が演じた
男とダブって見えて仕方ない。今回もまた神経症の
ごとくトラウマを抱えており、それでもこのミッションの
リーダーだから其処其処で指示を与えねばならない。
今回の相棒というかドリームチームの一員の中では
紅一点のE・ペイジが実に分かりやすく彼の心根と
計画を砕いて説明してくれるのでものすごく助かった^^;
彼女あってのインセプション計画。更に無重力階層で
敵と闘い、皆を纏めてグルグルする(爆)J・G=レヴィット
は、あ!「500日のサマー」の彼!うわ♪どうしたの?
と思うくらい印象が違う^^;オールバックにしちゃってぇ。
彼らが現実に戻る時にかかる曲がE・ピアフというのは
M・コティヤールが出ているからなんだろうな^^;などと
探せばけっこう遊び心に溢れ(るとこまではいかないか)
てもいたのだが、この物語にはドキドキワクワクという
荒唐無稽な面白さは皆無。どこまでも知的で色がない。
感動できるシーンも共感できるシーンもあるのだけど、
監督独自の整合性というか、整頓された知的空間から
ググーッと心情がはみ出てしまうことのない映像世界。
私がのれないのは、多分ここなんだろうと思う^^;
そんな空間に唯一色を挿してくれたのがC・マーフィ。
インセプションされる予定の標的役だ。
短い出番ながら、父親との確執、経営面での不安、
すべての感情を色のついた演技で構築してくれた。
チーム員との毛色が違う、ここだけ普通?の感覚を
彼を観て取り戻せたことが個人的に嬉しい気がした。
とはいえ、話を牽引するレオの元へ何度も出現する
夢オチ奥さん、モル。彼女が出る度、もういいよ~x
と何度も溜息をついてしまった。そこが重要なのかも
しれないが、しつこい。(爆)どうも中盤以降はダレて、
勿体ない作りになっている。更にもっと勿体ないのは
我らが謙さん。どうなのよ!?サイトー。彼にあの役の
必要性があったのか?(冒頭こそカッコ良かったのに)
監督に聞いてみたい。ケータイCMの彼は面白いぞ~。
(朝起きてアイディアが浮かんでいたら気をつけよう^^;)