「いかに没入できるか」インセプション KZKさんの映画レビュー(感想・評価)
いかに没入できるか
IMAXでは初めて鑑賞。TENET公開記念のC.ノーラン監督のリバイバル上映の中では作品的にも一番IMAXとはマッチしてないように感じた。順序的にもダークナイト→ダンケルクとIMAXとマッチした2作品の後のインセプションだから余計にそう感じてしまった。
この作品を始めてみたのは大学生の頃か。当時劇場で初めて鑑賞した際はとても不思議な感覚となった。
一回で全てを理解することはできなかったのだが、それでもこの作品の世界にとても魅力を感じてるのか引きつけられる不思議な感覚だ。
その後も何度か観たがあまりその感想は変わらない。10年経った今観た際もあまり変わらなかった。
自分の理解のキャパが恥ずかしながら小さい事もあるのだが、まぁやはりルールは複雑である。
特に昏睡状態の夢の中で死ぬと現実に帰れなくなるルールは今だに理解が追いつくとができない。
ただこの辺にあまり過度な緻密なルールを求め過ぎず、アイディアを盗む、植え付けるこの辺りの行為にスポットを当て、複雑なこと、細かく気になることは流しながらみるとあっという間にこの世界観に引き付けられる。
この作品でいうところのアイディアだったり、理想を求め過ぎると現実の世界がつまらなくなってしまったり虚無感に覆われるのは決してこの作品の世界観だけではないだろう。
特に比較的具現化しやすいアイディアや理想が叶わないと諦めた時の虚無感は恐ろしいものである。
この虚無感に飲み込まれると人は肉体的には生きていても精神的には死にかけてしまう。
この辺の現実性のあるイメージとこの世界観を上手く自分の頭の中ですり合わせていくとあっという間にこの作品に没入し、楽しむことができる。
いよいよTENET公開も1ヶ月に迫った。
中々詳細を明かしてくれない為とてもワクワクしている。
個人的にはインセプションと似たようなタイプの作品ではないのかなと妄想していたりもする。
その為TENETを見る予定がある人は今一度インセプションを鑑賞しノーラン世界に飲みこまれやすい体質を整えておくのも悪くないのではないか。